劇団4ドル50セント飛躍誓う/ロングインタビュー

新作舞台を控えて意気込む劇団4ドル50セントの、左から前田悠雅、福島雪菜、岡田帆乃佳(撮影・浅見桂子)

秋元康氏が総合プロデュースする劇団4ドル50セントの前田悠雅(21)福島雪菜(21)岡田帆乃佳(23)が16日、日刊スポーツのインタビューに応じ、2020年の飛躍を誓った。30日に劇団「柿喰う客」とのコラボ公演「学芸会レーベル/アセリ教育」(東京・DDD青山クロスシアター)が初日を迎える。

-「学芸会レーベル/アセリ教育」の稽古の真っ最中です

前田 毎日楽しいです。ずっと笑っています。皆さんのお芝居に。

福島 劇団(4ドル50セント)からは女子しか出ていないので、最初はびびっちゃっていて。

岡田 なかなかこんなイケメンたちに囲まれることないから(笑い)。

福島 男子の劇団員がイケメンじゃないとは言わないですよ!(笑い)ただ、圧を感じちゃっていた。もちろん、今はめっちゃ稽古が楽しいですよ。

岡田 共演する方々のお芝居に向かう姿勢はすごく勉強になっています。自分がやることを分かっていて、自分1人でできるんです。

福島 自分が求められていることを、ぱんっとできるというか。

岡田 小松準弥さんは、通し稽古の後、ダメ出し前の15分間、ちゃんと自分のどこがダメだったかとか、振り返っているんですよ。

前田 やる時にガッとやって、メリハリがすごいんですよ。私は、分からないことがあったらずっとため込んじゃうタイプなんですけど、皆さんは、稽古が終わった後はすぐ「お疲れさま~!」って切り替えて、すぐ飲みに行っちゃう、みたいな。

-「学芸会レーベル」では、岡田さんは一風変わった幼稚園児を演じます

岡田 初めての幼稚園児役。この年になって幼稚園児役やるとは思っていませんでした(笑い)

前田 「学芸会レーベル」は再演なんですけど、「えまちゃん」は岡田のために新しく作った役らしいです。

岡田 幼稚園児なので、何も考えないですし、すごく楽しいです。口調が江戸っ子の、変わった幼稚園児なんですけどね。

-前田さんと福島さんは先生役です

前田 タイプが全く違う先生の役。私は、他のみんなのキャラが濃いめの中で唯一、一般常識を持っている先生です。

福島 私は、伝説の女の役なんです(笑い)。幼稚園をかき乱すんですけど、みんながみんな主人公面しちゃっているので、誰が主人公なんだかわからない作品ですね(笑い)。

前田 幼稚園の子たちとの歌とか遊びのシーンもあります。

岡田 12曲歌うんですよ。

福島 「学芸会レーベル」のテーマはミュージカルですね。

岡田 (芸大出身の)田代(明)ののどが、まじで活躍します。通し稽古でも一番褒められてました。

-「アセリ教育」は、小学生たちが登場します。前田さんが演じる「零(ぜろ)」は

前田 「最強の落ちこぼれ」です。政府が頭のいい国家を作っていこうとする、という設定が舞台なんですが、「零」はそこに反逆する最強のバカです。落ちこぼれてしまった中のトップというか。小学生を演じているという意識は正直、ないですね。

福島 王道少年漫画のような作品です。せりふ見て、「あの漫画のやつだ!」って分かります(笑い)。私が演じる白眉毛ヨシコは、主人公にどんどん挑んでいく敵キャラの1人ですね。「学芸会レーベル」がミュージカルだとしたら、「アセリ教育」はどっちかっていうとダンスっていうか、動きがすごすぎて。ずっとしゃべってるみたいな感じです。

前田 バトルシーンは、大いに動き、踊りますよ!

岡田 これだけ4ドル以外にたくさんの方がいて、私たちも負けそうになっちゃって危ない部分もある。コラボと言いつつも、「柿喰う客」さんの舞台になっちゃいそうで怖いです。だから4ドルの色を頑張って出していかなきゃいけないし、逆に「柿喰う客」さんたちのいいエキスも吸収しつつ成長できるといいなと思います。

-劇団4ドル50セントはこの1年でソロ仕事も増えて、皆さんがそれぞれ経験を積みました。前田さんは恋愛リアリティーショー「ドラマみたいな恋がしたい」出演で、ぐっと女性らしさが増したと評判でした

前田 でも、残念ながら「ドラ恋」からももう1年くらいたっちゃうので、その“ツヤ感”もなくなってしまいました…(笑い)。

岡田 枯れてきた(笑い)。

前田 ドラ恋終わってからぱったりと消えてしまって。やっぱり、恋愛って大事だなって思いますね。あと、イケメンがそばにいるっていうのも大事。だから今の現場って、すごくすてきです(笑い)。

福島 イケメンを加湿器扱いしないで!(笑い)

-福島さんは舞台「フラガール」などで評価を上げました

福島 「フラガール」のおかげで心が強くなりました。でも、今回は2作品同時なので、思った以上に頭がパンパンです。だからこそ、役者としての技量は上がると思います。

岡田 (作・演出の)中屋敷(法仁)さんの独特の世界は、シュールで、大好きなんです。心のメモにたくさんメモっています。

-岡田さんは劇団「カムカムミニキーナ」の作品に連続して出演します

岡田 小道具作りの楽しさと大切さを学びました。そして、人をより好きになりました。4ドルでも、小道具からみんなで作りたいですね。段ボールを集めるところからまず始めたい。それに今後、こういうコラボ公演もたくさんある気がしますね。

-2020年の劇団4ドル50セントの抱負は

前田 年末にかけて、すごく私の中で劇団に対しての思いが上がったんです。秋元さんプロデュースグループのアイドルさんたちが、レコード大賞出たり、「Mステ」とか、紅白歌合戦出たりっていうのを、全部見ていて。ほとんど全てのグループに(振り付けユニットの)CRE8BOYさんが関わっていて。すごく悔しくなって、その気持ちを引きずっていたんですよ。

-4ドル50セントの楽曲のキャッチーな振り付けもCRE8BOYさんです

前田 踊って歌う機会も少なくなってきたんですけど、たくさん劇団にも楽曲がありますし、そこも含めて4ドルの強みなので。戦えると思う。またそういう部分も出していきたいなと思います。

福島 今まで、どっちかっていうと、生き急いでいたのかな、って思います。すぐにこの劇団を売りたい! っていう焦りがあったと思うんです。だけど、いい意味で落ち着いたというか、エイベックスが劇団をやるっていうのも、そもそも初めての試みだから、時間かかるのは当たり前だと思う。牧田(哲也)さんから、「石を一気に温めたらすぐ冷めるけど、ゆっくり温めたらなかなか冷めない。劇団も同じなんだよ」って言われて。本当にそうだなと思って。私たちはアイドルではないし、年齢とかはそこまで関係ないし、変に焦る必要はないと思う。今は自分もそうだし、劇団員のみんなも、コラボ公演とかでいろんなものを吸収して、技量を1つずつアップして、いつか紀伊国屋ホールにまた戻って、バーン! みたいな感じになれれば。

岡田 ちょっとから回っていた部分があるかもしれないです。

福島 結局自分の軸がブレないことが一番大事だな、って思います。

岡田 最近うれしかったことは、YouTubeで「ピエロになりたい」とかの映像が見られるようになったので、(地元の)愛媛のみんなとか、お友達とかが見て、「4ドル50セントって、めっちゃおもしろいね!」って言ってくれるんですよ。そんな声、聞いたことがなかったから。実はキラキラしていたんだな、って思って。劇団員1人1人が、やりたいことをやりつつ、4ドル50セントで紀伊国屋ホールに帰りたいですね。劇団、劇団、ってなるより、みんながあらためてやりたいことにわがままで、ハングリー精神を忘れずにいきたいですね。負けない個性はあるし、若さもあるから。