ミニシアター救済署名6万6000筆を4省庁に提出

「#SAVE THE CINEMA ミニシアターを救え!」のオンライン会見に出席した諏訪敦彦監督(主催者提供)

新型コロナウイルスの感染拡大で、存続危機を迎えるミニシアターの救済を目的としたプロジェクト「#SAVE THE CINEMA ミニシアターを救え!」の有志が15日、6万6828筆の署名と要望書を内閣府、経産省、厚労省、文化庁に提出した。

署名はインターネット署名サイト「Change.org」で6日から活動を開始し、9日間で集めた。

有志はこの日、インターネット上で会見を開いた。呼び掛け人の諏訪敦彦監督は冒頭で「日本においては、スクリーンの数で言うと88%はシネコンで占められ、12%は残りの映画館」と日本の映画界における映画館の現状を説明。その上で「ミニシアターが文化に役立ってきた。日本で公開される年間1300本のうち、1000本を上映している。そのスクリーンがあるからこそ、多様性が守られている」とミニシアターの重要性を訴えた。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、映画の公開延期が相次ぎ、東京を中心に映画館の上映自粛が広がった。さらに政府が7日に7都府県に緊急事態宣言を発令すると、その動きは、さらに進んだ。諏訪監督は「コロナウイルスの影響が直撃し外出、イベントの自粛が要請され(劇場の動員は)3月から3、5、8割…現状、開いている映画館はあるが観客は0。非常にダメージをこうむり、休館せざるを得ない状況に追い込まれている」と厳しい現状を訴えた。

プロジェクトの有志は、政府への緊急支援を求める要望書の中で

<1>緊急的な支援として感染拡大防止のための自粛要請、外出自粛要請、拡大防止対策(時短営業や客席数を減らすなど)によって生じた損失(観客数の大幅な減少)の補■(ほてん)

<2>終息後の支援として集客回復のための、広報活動の充実、イベントへの支援を求めている。

また、呼び掛け人の1人の白石和弥監督は、5月10日にクランクイン予定だった新作の撮影を延期せざるを得なくなったと明かした。「撮影の大半は長野で予定していた。都で7日に緊急事態宣言が出て、自宅で準備していたが、緊急事態の最中に(長野に)来るのは自粛して欲しいと言われた。6月頭で何とか出来るかどうか調整しているが、かなり苦しい」。そして「映画は9割くらい、フリーランスのスタッフに支えられている。スタッフの働く場もなくなっており、それぞれが途方に暮れている状況」と製作スタッフの苦しい状況を明かした。

その上で、白石監督は「ミニシアターがなくなって(上映される)小さな映画がなくなっていくと、人々の働き場を後々、失う。監督、作り手、若い俳優の映画を作っていく土壌が、このままでいくと奪われていく。映画の人材を供給していく根源を失うのではないかという、危機感を強く覚えている」と訴えた。

関係者は、この日、提出した内閣府、経産省、厚労省、文化庁には、具体的な対応、アイデアはなかったとした。その上で、今後も引き続き、賛同を求めつつ、国会で補正予算の審議が始まる中で、ミニシアターを救うような内容がどこまで盛り込まれるか、という部分で、国会議員に対する働き掛けをやっていきたいとした。

また13日午後1時にスタートしたクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」とも連動し、2本柱でミニシアターを救っていくとした。同基金は15日午後5時40分段階で目標額1億円の9割超の、9086万9755円の支援金が集まっている。

※■は土ヘンに真の旧字体