生田絵梨花は「透き通っている」根本宗子氏魅力語る

シアタークリエの舞台上で稽古する生田絵梨花(右)と海宝直人(左)は、根本宗子氏(手前右)から指示を受ける

乃木坂46生田絵梨花(23)と俳優海宝直人(31)が、演劇界の新たな試みに挑戦することが分かった。東宝演劇再開第1弾となるミュージカル2本立て配信プロジェクト「TOHO MUSICAL LAB.」に参加し、オリジナル作品「Happily Ever After」に出演する。7月11日午後7時から、東京・有楽町のシアタークリエ舞台上から演劇映像を生配信する。

同プロジェクトは、今年3月以降、新型コロナウイルスの影響で休演を余儀なくされた同劇場を「LAB.(実験室)」に見立て、旬の若手劇作家やキャストと共に新作のミュージカルを届けるもの。「Happily-」は気鋭の劇作家根本宗子氏が脚本・演出を手がけ、清竜人(31)が音楽監督を務める。願いを込めて眠りに入る少女(生田)と、触れることができない彼(海宝)のやりとりを描く物語だ。

28日、生田、海宝、根本氏が日刊スポーツの取材に応じた。

-シアタークリエでの稽古の様子は

生田 新鮮です。普段は、稽古の段階で本番の舞台を使わせていただくことはまずないので。登場人物も2人と、ダンサーさん1人、ピアニストさん1人。ここまで少人数のミュージカルは、個人的にも経験したことがないです。

海宝 歌の稽古から始まった時、ビニールで敷居を作ったりして、やっぱりこういうご時勢なんだなっていうのをあらためて実感しました。少人数なので、濃い稽古で、あっという間に時間がたっています。何より、久々にお芝居をしに来ているので、すごく楽しいですね。

根本 いちから劇場を使えるという、すごくぜいたくな時間を過ごさせていただいている。おふたりのポテンシャルがものすごく高いので、吸収させていただいている部分もあります。

-生田さんと海宝さんは「レ・ミゼラブル」で2度共演されています

生田 安心感がありすぎます。私は新人の状態で「レ・ミゼラブル」に入ったんですけど、海宝さんはその時からもう風格が漂っていたので。心強いです。

海宝 「レ・ミゼラブル」では全て歌だったので、せりふのやりとりするのは今回が初めてなんです。生田さんの舞台上での自由さに、それこそこちらが引き出してもらっています。縛られていない感じがします。

-根本さんがおふたりを選んだ理由は

根本 もともと私がおふたりの大ファンで。この企画をいただいた時に、勝手に2人を想定した脚本を書いて、おふたりの名前を書いて(プロデューサーの)尾木(晴佳)さんに送りつけました(笑い)。おふたりにやっていただきたいものを当て書きした部分はあるので、等身大でやっていただけたらいいなって思います。お家で見られる方が多いと思うので、優しい時間が少しでもお家に流れたらいいな、って思います。

-おふたりの魅力は

根本 舞台で拝見している時に、せりふから歌のパートに行く時に、せりふの延長で(自然と)歌に行くことが出来るところがすごい好きで。その魅力が知りたかったんです。

-アイドルとしての生田さんも好きだったんでしょうか

根本 生田さんがお休みされている期間(14年に一時活動休止)、すごく悲しかったんです。その直前くらいから、ずっと舞台をご一緒したいと思っていました。

生田 ええっ!? そうだったんですか?

根本 はい(笑い)。当時から「いつかご一緒したい、いつかご一緒したい」っていろんな周りの人に言っていたんです。お休みされた時は悲しくて、戻って来られた時には「戻って来た!」って気持ちでした(笑い)。なかなか今までのアイドルにいない感じで、とにかく品がいいのと、かわいらしいのと、透明で透き通っているんです。すてきだなと思っていました。

-客席は無観客で、舞台上から生配信で演劇を届けるという、新しい試みになります

生田 リアルタイムなので、生の緊張感とか臨場感とかが伝わったらいいなと思います。あとはやっぱりカメラを通す形になるので、撮られ方をより意識しないといけないなと思っています。こういう形で舞台に興味を持ってくださる方に楽しんでもらえるのであれば、すごくすてきなプロジェクトになるんだろうな、って思っています。

海宝 カメラが入って、生で演劇をするのは初めての経験なので、やっぱり緊張しますね。パソコンで見る方もいれば、スマートフォンで見る方もいると思うし、それによって変わるのはすごくおもしろいことだと感じます。演劇に触れる新しい選択肢の1つを作れるというのは幸せです。興味はあるけど、劇場に足を運ぶまではいかなかった方の入り口にもなる可能性があると思います。

根本 生のものでもなければ、映像作品でもないという、いいとこ取りできればいいなと思います。「やっぱり生で見たいな」っていう気持ちになってもらいたい、という責務も感じます。その上で「これもアリだな」って思っていただけるような楽しいコンテンツになったらいいなと思っています。イヤホンとかヘッドホンとかをして見ていただいて、集中しながら見ていただけるとおもしろいんじゃないでしょうか。

-あらためて、演劇界の新しい試みに参加する意気込みは

生田 演劇界やエンターテインメントを盛り上げられるエネルギーの一部になれればいいな、と常々思っているので、そこに参加できるというのはありがたいです。スタッフの方々のお力があってこそなので、みんなで一体になって、ちゃんとお届けできるように。少しでも力になれたら、うれしいですね。

海宝 こういったチャレンジの場に参加できることは本当に光栄です。自分も本当に頑張らなきゃな、って思いますし。根本さんや(清)竜人さんはじめ、同世代のクリエイターの方々と一緒にできるのも新鮮です。楽しみながら、作品を深めていければと思います。