KERA「あがいた記録」古田新太ら集結し配信企画

ケラリーノ・サンドロヴィッチ(2019年5月13日撮影)

劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA=57)が手がける配信企画「CUBE produce 『PRE AFTER CORONA SHOW』」が7月12日に実施されることが6月30日、分かった。

古田新太(54)、大倉孝二(45)ら、過去にKERAとタッグを組んでナンセンスコメディーの舞台を3本上演してきたレギュラーメンバーが集結する。

多くの公演が新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、上演がストップ。KERAが手がける予定だった4作品のうち2作品が中止を余儀なくされたという。KERAによると、中止になった「欲望のみ」は「古田新太を座長としたチームに新たなメンバーを加え、07年と16年に同チームで上演した『ナンセンス三部作』とは異なるタイプのコメディーを作ろうとした公演でした」。

中止を受けて、「このチームで『公演の代わりの何か』ができないものかと画策しましたが、コロナ渦の制約の中、頭に浮かぶ案はどれもこれも、時間と労力を費やしてまで実行しようと思えるものではありませんでしたし、それ以前に、自分の仕事ではないように感じました」と苦悩を明かした。そして「周囲の演劇人たちが早々に発信を連打した様々な試み、すなわちリモートを使った演劇。しかしそれを私が試みたところで、面白いと思えるモノが創れるとは思えなかったのです」とした。

KERAによれば、それらは演劇のようでいて、決して演劇ではない「演劇のようなもの」だといい、「演劇のようなもの」は「演劇のよう」でありながら、KERAが感じている「演劇の魅力」を持っていなかったという。

そのような思いから立ち上がった新プロジェクトは、劇場でのリーディングアクト「プラン変更~名探偵アラータ探偵、最後から7、8番目の冒険~」(午後3時)の無観客上演生配信とコント映像作品「PRE AFTER CORONA SHOW The Movie」(午後5時)の配信という2つのコンテンツで構成される。

KERAは2つの作品について「『演劇のようなもの』でしかなく、『演劇』と比べられちゃあたまらないのですが、『演劇』ができない時期、『何もしない』という選択肢もある中で、これならやってもよいのではないだろうかと思えた企画であります。やってみました。我々が2020年の春・夏にどんな風にあがいていたかの記録でもあります」と説明した。

「PRE AFTER-」についてKERAは「ザックリ言うと『コント集』です」。劇場での収録やロケで映画やドラマのような撮影によって製作。全6日間の強行撮影で、制約が多くある中、ゲスト出演者含め20名近いキャストとスタッフで約100分の作品に作り上げたという。

「プラン変更-」は変質者であり多重人格者でもある探偵アラータが、助手のアルジャーノンとともに、事件かどうかすらも曖昧な事件を解決するナンセンスコメディー。ナンセンス3部作の第四弾でKERAは「ともかく、安全第一、くだらなさ第二に、楽しんで作ろうと思います。赤字必至の試みなので、お気に召したら口コミ、SNS等でワーワー騒いでくれろ。以上、よろしくお願い」と呼び掛けた。

配信前日の11日には、公開ゲネプロとして観客を入れて、午後4時から「PRE AFTER-」の上映、午後6時から「プラン変更-」の上演が行われる。