<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
日本テレビ系「24時間テレビ43」で「募金ラン」を行ったシドニーオリンピック(五輪)女子マラソン金メダリストの高橋尚子さん(48)を取材した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きく様変わりした今年の24時間テレビ。恒例だった公道でのマラソンこそできなくなったが、「募金ラン」という新たな企画が安全な私道で行われた。
現役引退後も毎日21キロを走り続けていたという高橋さん。「走ることで恩返しがしたい。私も挑戦したい」と2つの思いで、走る側が募金するというこれまでにない形を高橋さんが持ち込んだ。
深夜早朝帯は走らないことなどを知らなかった高橋さんは「200キロとか日本記録行けるかな」などと冗談とも本気ともとれることを考えていたという。練習に熱が入りすぎて本番2週間前に右ふくらはぎを肉離れしてしまったことは話題になったが、「現役以上にケアとかアイシングとかしている」と笑いながら明かしていた。
取材の中で最も印象に残ったのは高橋さんが恩師・小出義雄さん(享年80)について言及したところ。昨年亡くなった小出さんはどう思っているだろうかと問われると「『お前、バカなことするな~本当に走るの好きだな~』って」。千葉県の自宅付近でトレーニングをしていたといい「家から出て、田んぼの中、山の中を走っていると『また走っているのか、お前好きだな~』っていう笑い声が空から聞こえてくるようです。そういった言葉に支えられて『小出監督が知っている私からそんなに変わっていないんですよ』って対話をしながら一緒に走っているような感覚です。きっとお酒を飲みながら『お前よくやるな~』って笑っていると思います」と想像した。
本番の作戦を聞くと「とにかく飛ばさない。最後まで行き着けるように。1キロ6分くらいを意識していきたい」と話していた。その一方で「オリンピックと同じように真剣勝負の気持ちで」とも意気込んでいた。
実際は想定よりも速いペース。2日目には立ち止まることもあったが、番組の終盤に5キロコースの切りのいいところで走りをやめることなく、番組が終了するまで走り続けて116キロを駆け抜けた。「走るのが好き。より多く募金したい」という高橋さんの思いが伝わってきた。
00年のシドニーでの金メダルから20年。恩師を思い浮かべ、周りの人のために走り続ける姿勢は変わらないのかもしれない。【佐藤成】