新王者ジャルジャル、SNSで確認できた受けるネタ

ジャルジャルの後藤淳平(右)と福徳秀介(2011年12月26日撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

お笑いコンビ、ジャルジャルが「キングオブコント2020」で第13代目王者に輝いた。

ファーストステージで、新人歌手がボートレース場でヤジに耐える練習をする「ヤジワクチン」というネタでトップにたつと、ファイナルステージでも空き巣をするのにタンバリンをもってきて、あたふたしてしまうネタでトップを守り、見事キングの称号をゲットした。

優勝直後に行われたリモートで会見で、それぞれのネタの説明があった。後藤淳平(36)は「やっていて、自分たちで笑ってしまうネタが何個かある。ヤジワクチンはそれ。そういう意味で、いいネタで、僕らの中でバロメーターになっている」と話した。

1回目のネタについて福徳秀介(36)は「去年の年末の単独ライブでできたネタ。単独ライブはお客さんの反応がいい感じやなと。大衆受けやな、ちょうどいい具合の受け具合やな、というのが2人の中でありまして」。2回目のネタについては「自分たちはYouTubeで1日1本挙げている。それはネタのタネと呼んでいる。(このネタは)没ネタにしていたけど、10年ぶりくらいにやったら思いのほか、スタジオの反応も良くて、チャンネルでのコメントとかも良かった。みなさんと一緒に戦った気分ですね」と明かした。

コロナ禍でも、利益度外視で劇場を運営し、出番を確保してくれた所属事務所には大いに感謝しつつ、YouTubeやツイッターなどのSNSでファンの反応を直で受け取ることが可能になったことを今回の勝因に挙げていたのは、時代の流れから見ても非常に示唆的だった。ジャルジャルは13回目の挑戦で、愚直に取り組んできたコントの王者にたどり着いたわけだが、これほどの芸歴を持つ芸人でもYouTubeチャンネルで毎日“ネタのタネ”を配信していることは注目すべきことだ。

ジャルジャルのネタは非常に緻密な構成で有名。ある記者が「非常に練習のあとが見えるが」と聞いた。福徳は「そう思われてしまうんですが、かっこつけるわけじゃなくて、ぼくらは練習する時間よりも新ネタを考える時間の方が長いんです。新ネタができるとそんなに練習しないんです」と答えていたのが印象的だった。ひたすらコントを突き詰めている2人の意外な一面を見た気持ちだった。2人の目標は「宇宙空間でコントをすること」だという。次元の異なるコント制作に重きを置いている2人らしい目標だ。無重力空間ならではの天才的な仕掛けを考えているのかもしれない。