「11月歌舞伎」主人公を支える女性の強さに注目

国立劇場11月歌舞伎公演「平家女護島 俊寛」の取材会に出席した尾上菊之助(左)、中村吉右衛門(2020年10月23日撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

国立劇場11月歌舞伎公演(11月2~25日)は、第1部、第2部ともに、描かれる女性の強さに注目したい。

第1部は中村吉右衛門、尾上菊之助らによる「平家女護島 俊寛」。流罪になった夫俊寛(吉右衛門)を思い、守るために自害する妻東屋(菊之助)が、物語が展開する重要な要素になる。孤島で過ごす俊寛の心を支えていたのは、遠くにいる妻。妻が亡くなったと知らされた時の、俊寛の絶望たるや、舞台を思い出すだけでも胸が詰まるほどだ。俊寛の決断のキーになる。

菊之助は「俊寛のために自害して果てる女性。その強さを出したい」と話している。

第2部は片岡仁左衛門、片岡孝太郎らによる「彦山権現誓助剣 毛谷村」。六助(仁左衛門)が、剣の師匠で、いいなずけのお園(孝太郎)の親の敵討ちに向かう物語。男勝りなところや、六助との出会いでかわいらしく振る舞うところ、敵討ちに向かう六助を覚悟を持って見送るところなど、魅力たっぷりの女性だ。孝太郎も「いろんな面を持っている女性。違いを楽しんでいただければ」と話している。

主人公を支える女性たちに視点を置いて見るのもおもしろい。【小林千穂】