さらなる高み目指す松本白鸚「覚悟を決めて」弁慶役

松本白鸚(左)と松本幸四郎(2020年2月12日(撮影)

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

歌舞伎俳優松本白鸚(78)が、「四月大歌舞伎」(4月3日初日、東京・歌舞伎座)で「勧進帳」に出演し、本興行では最年長で弁慶に挑む。1日交代、ダブルキャストで弁慶を演じる長男松本幸四郎(48)との取材会では覚悟と決意、継承について語った。

1時間以上ある演目で、体力、気力が必要なだけでなく、主君義経への思いを根底に、器の大きさや快活さなどを表現しなければならない。「ちょっとでも集中力が欠けると弁慶が弁慶じゃなくなってしまう。その気になっていないとお客様に見透かされる」(白鸚)という役だ。

白鸚は16歳で初めて弁慶を演じ、これまでに1150回の弁慶を演じている。当たり役ではあるが、今回はさすがに出演を即答できなかったという。年齢やコロナ禍の状況が気になった。しかし、幸四郎との日替わり出演という提案をもらい「覚悟を決めました」と話した。

「体力、歳では息子に負けていますが、それを凌駕(りょうが)するというか、超えたい。自分に残っているのは芸しかない。せりふと声と芸しかない」と語る姿からは、ほとばしるような情熱と高みを目指す向上心を感じた。

白鸚は「自分が亡くなった後は息子が弁慶をつとめてくれると思います。自分は本当に幸せ者。息子の弁慶に託す。それが歌舞伎の伝承で、歌舞伎の歌舞伎たるところです」と言ったが、隣の幸四郎は「父が舞台に立つとまったくそんなことはない。新たな白鸚としての弁慶が始まるんだと思います」と応じた。

体力や年齢を超越した、白鸚としての新たな弁慶を早く見てみたい。