松浦航大“変幻自在の七色ボイス”で独自の道を行く

多彩な才能で注目を集める松浦航大

<会いたかった人 聞きたかった事>

音楽ユニット「aoiro」のメンバーで札幌市出身の歌手、松浦航大(27)が21年の構想を語った。米津玄師、平井堅ら複数の歌手の声を1人で歌い分けるカバー曲動画が話題を呼んでいる。開設したYouTubeチャンネルの登録者は60万人を超え、総再生回数は8000万回に到達。注目されるものまねとともに、本業でも年内のソロデビューを予定する。“変幻自在の七色ボイス”で独自の道を開拓する。

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哀愁漂う平井堅の声でワンフレーズを歌ったと思えば、伸びのあるMr.Children桜井和寿の声で曲に引き込む。YouTubeで100万回再生超のカバー曲動画を連発する声の主が松浦だ。歌手の活動よりも先に、ものまねで世間の注目を集めた。

松浦 最初は本当にリスクを感じていた。歌手としてはものまねのイメージに引っ張られやすい。けど、武器をしまって戦うのは良くないなって。「ものまね」って名前が付いているだけで、いろいろな声を出す技術だから。

18年末から1人で複数の歌手の声で歌い分ける動画を公開し始め、現在のYouTube総再生回数は8000万回を超えた。昨年12月には歴史があるフジテレビ系「ものまね王座決定戦」に初出場し、コブクロを一人二役で歌い優勝した。多くのものまねタレントと違い「誇張をしない」ことを意識し「声を変える技術を扉にして歌で感動してほしい」と、独自路線で磨いてきた技術が認められた。

「狂ったように練習した」。歌手を志した札幌厚別高時代から歌が生活の中心だ。東京の専門学校で音楽を学び、卒業後はバンドやグループを組んだ。方向性があわず解散しても、1人で路上に出た。「水道も電気もガスも止まった」。高校の同級生は次々と就職、結婚した。

先行きは見えなくても、やめなかった。17年のaoiro結成後も続いた路上ライブの経験で学んだ。「寒い路上でファンから温かいものを差し入れてくれて生き延びた。恩返しというのも頑張れる活力になっている」。昨年5月には防音設備の整った家に引っ越し「24時間歌っても文句言われないですね」。

今年5月15日でaoiroは無期限休止に入るが、コロナ禍で失ったファンと触れ合うライブ再開を待ち望む。グループ活動休止後にはソロ活動に軸足を移し「自分の曲で(動画サイトで)1000万回の再生は勝ち取りたいし、将来的には何千人の規模でずっと全国ツアーができる人になりたい」。幼少期から「目立つのが好き」だった松浦には野望がある。

松浦 音楽業界でもものまね業界でも誰もやったことのないことをやりたい。自分の歌を発信してヒットさせていきたいし、ものまねってかっこいいなとか「自分もやってみたい」と思われるような憧れの存在になりたい。【取材・構成=浅水友輝】

◆松浦航大(まつうら・こうだい)1993年(平5)10月22日、札幌市出身。札幌厚別高卒業後に上京。17年4月に3人組音楽ユニット「aoiro」を結成。メインボーカルとしてシングル2作、アルバム1作、ミニアルバム3作をリリース。ソロではテレビ東京系「THE カラオケ★バトル」で2度優勝。小学ではサッカー、中学では野球に打ち込む。初購入したCDはテツandトモの「なんでだろう~こち亀バージョン~」。184センチ。