橋田寿賀子さんがせりふ変更を舘ひろしに許した理由

TBSドラマ「なるようになるさ。」の記者会見に臨む、左から渡辺美佐子、南沢奈央、浅野温子、舘ひろし、橋田寿賀子、泉ピン子、紺野まひる(2014年4月14日撮影)

橋田さんのドラマの脚本は、せりふが長く、多いことで知られる。その上、“橋田ファミリー”の泉ピン子でさえ「(助詞の)て、に、を、は、を一字一句、変えちゃいけない」と思い込むほど、俳優にとって絶対的な存在だ。

その橋田さんが、13年のTBS系「なるようになるさ。」で、主演の舘ひろしにせりふのアレンジを許した。同年7月の会見で、泉は「台本読みで『私』と書いているのを、舘さんが『僕』と言っただけで心拍数が上がった」と吐露すると、舘は「先生の方から『好きに切っていいわよ』と…」と苦笑いした。

2人のやりとりを聞いていた橋田さんは、すぐに「意図が見てくださる方に伝わったら、どんなに変えてもいいという条件で出演していただいた」とフォローした。その上で「壊してくださることで違う味が出る。楽しみ」「台本は書いたら嫁にやった娘と思っている。俳優さんが勝手に動けばいい」と持論を展開した。

その裏には、16年ぶりに連続ドラマの脚本を手掛けた作品で、新しいことをしたいという強い思いがあったという。橋田さんは会見の中で「鬼ばかり書いておりましたが、やっと違うドラマを書かせていただいた」と口にした。当時、代表作の「渡る世間は鬼ばかり」は放送開始から23年。橋田さんは「渡鬼」とは一線を画した新しいドラマのキーマンに舘と浅野を熱望した。

07年のTBS系「パパとムスメの7日間」に主演した舘、10年のフジテレビ系ドラマ「フリーター、家を買う。」に出演した浅野の演技を見て、いつか起用したいと思い続け、2人の出演が決まった上で脚本を書いた。だから、舘にはせりふのアレンジを許した。

一方で、泉が「『渡る世間』を23年…私の23年はなんだったんだろう」と吐露し、「渡鬼」でのせりふ変更の可否を問うと、橋田さんは否定した。守るべきものは守る…その中で、進化すべきところは踏み込む。高齢になっても、第一線で戦い抜ける理由を見た思いだった。  【村上幸将】