「草食系」LGBTサリー楓さん、先生に救われた大学在学時カミングアウト

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

建築デザイナーとして働く1人のトランスジェンダー女性を追ったドキュメンタリー映画「息子のままで、女子になる」が6月19日から公開される。主人公であり、LGBT就職支援活動も行っているサリー楓さん(27)に話を聞く機会があった。

キャラを立てるためだとは思うが、テレビで見るLGBTのタレントの多くに「肉食系」の雰囲気があるのとは対照的に、楓さんは「草食系」だ。

「女性になりたいという気持ちは強いし、きれいになりたいとも思います。でも、今は建築や講演の仕事でいっぱい。仕事に夢中でボーイフレンドを作る時間がない、その気になれないっていう女性って少なくないでしょう。私もそういう気持ちです。8歳の時からずっと建築家になるのが夢で、もしカミングアウトすることでそれがかなわないなら、ジェンダーの方を捨てたかもしれません」という。

男女の境目無く遊んでいた幼稚園時代から、小学校に上がって「お道具箱」の色が青とピンクに分かれたとき、楓さんは「何で私はこっち側なのだろう」と違和感を覚えたという。

カミングアウトは大学在学中。屋外授業のある日、短かった髪にウィッグを着け、ワンピースを着てゼミの仲間の前に立った。

「もし友達と気まずくなっても同級生であることをやめることはできない。すごく勇気のいることでした。そんなとき先生が『これから、どんな風に呼べばいい?』と当たり前のように言ってくれたんです。救われました。私は恵まれていたんですね」

「多様化」が絶対正義のように言われるようになってきたが、いざそういう場に際したとき、当たり前のように受け止められるだろうか。拒絶はしないし、むしろ応援するだろう。だが、どこまで自然に振る舞えるか、となると正直、自信はない。

映画の中には、対極的に見えるはるな愛と対談し、互いの心中を思いやるシーンもある。そういえば、明るく振る舞うタレントにも、実は今までいろいろあっただろうことを、意識してテレビを見たこともほとんどない。「多様化」の本当の難しさを改めて考えさせられた。