歌手で俳優の中村雅俊(70)が、デビュー48年目で初めてフルオーケストラと共演する全国4都市ツアー「ビルボードクラシックス 中村雅俊 Symphonic Live 2021」に挑む。8月28日の兵庫・西宮からスタートし、名古屋、熊本、東京で「ふれあい」「俺たちの旅」「恋人も濡れる街角」などのヒット曲を壮大な演奏をバックに熱唱する。新たな挑戦への意気込みを聞いてみた。
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「コロナ禍でツアーがなくなった。歌うことって、自分にとってこんなに重要なことだったんだ、歌がないってこんなに寂しいんだ、つらいんだと痛感した。その中で、この企画を頂いた。それもやったことのない、フルオーケストラで」。新たな挑戦に中村は声を弾ませた。
文学座研究生だった慶大在学中にオーディションを受け、1974年(昭49)4月に卒業と同時に日本テレビ系「われら青春!」の主演に抜てき。同7月に挿入歌の「ふれあい」で歌手デビューして120万枚超のミリオンヒット。“歌う青春スター”の名をほしいままにした中村でさえも、オーケストラは初体験だ。
「不安はドラムがないこと。リズムがないと結構、音がずれるんじゃないかとね。リズムを感じる楽器の音をイヤホンで大きくしてもらうとかあるけど、不安は不安。普通にバンドでやっていると『ドラム、うるせー』と思ってたりするんですけどね」と笑う。
「俺のヒットした曲って、ゆるい曲が多いんで(笑い)。『ふれあい』なんか、そうでしょう。ロックじゃないから、交響楽団に合う曲が多い。歌の作り方も、今はメロディーとか歌詞の付け方も違う。そういう意味じゃ、新しい挑戦ですね。スゲー楽しみ。最近のツアーは弦はバイオリン1個だけだった。“音楽の空気の波”を体験するのは今までにない感じですね」。
今年2月に70歳になった。「昔の概念だと年寄りだけど、今は確実に違う。昔の70歳は『やり残したことはない』っていう年齢だけど、今は『まだまだやることがあるぞ』っていう年齢。意識も違うし、肉体的にも違うと思います」と言い切る。
デビュー48年目。まだ、やり残した夢がある。「大学の時にESS(英語研究会)で英語劇をやっていたんです。それで、日本語の芝居をやりたいと思って文学座に入った。最初は英語で演じることだったんです。今までに2回ばかりアメリカの映画に出演させてもらったんですけど、すごく楽しかったんですよ。通訳もマネジャーもなくて、1人だけでね」と振り返る。
そして続けた。「だから、もう1回チャレンジさせてくれないかと。去年3月に撮影がニューヨークで決まっていたんだけど、コロナ禍でなしになってしまった。今は、まだ大変だけど、また、チャレンジしたいですね」。【取材・構成=小谷野俊哉】
志は老けない。今でも“歌う青春スター”だ。
◆中村雅俊(なかむら・まさとし)1951年(昭26)2月1日、宮城県女川町生まれ。74年の日テレ系ドラマ「われら青春!」で主演に抜てきされ本格デビュー。同7月に挿入歌「ふれあい」で歌手デビュー。同局系「俺たちの勲章」「俺たちの旅」、映画「ふれあい」などで主演。歌手としてシングル55枚、アルバム41枚をリリース。夫人は女優五十嵐淳子(68)。モデル、女優の中村里砂(31)は三女。182センチ。血液型O。