<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
5月末に甲状腺乳頭がんの手術を受けた落語家立川談笑(55)の復帰高座を取材した。
「手のひらを太陽に」の出ばやしで登場した談笑は、大きな拍手に頭をしばらく下げ、手で顔を押さえていた。第一声は「声が出ます!」だった。
ここまで談笑が感極まったのには理由があった。甲状腺を全摘出する手術で声帯に近い場所だった。手術公表時から声への影響を心配していたが、実はこれまで通りに声が出なくなる可能性の方が高かったのだと明かした。
腫瘍の大きさは58ミリと大きく、医師からは「ラッキーだったらしわがれ声」と言われていたのだとか。落語には1時間を超える大ネタもある。思うような高座ができなくなることは想像できた。師匠の立川談志さんが喉頭がんを患い、声が思うように出せなくなって苦しんだことが頭をよぎったという。
ツイッターなどではつとめて明るく振る舞っていたが、手術前の高座は「普通に声が出る最後の高座」だと覚悟を決めていたそう。
手術後、声が出ることが分かった時の喜びは相当だったようで、1人になった時、ドレミの音階を試してみたという。出るようになった音もあったり、出にくくなった音もあったりと、変化はあったが、とにかく声が出たという喜びでいっぱいだったと振り返った。
今後について談笑は「音、響き、メロディーを意識するようになりました。自分が今、出せる声、音を使った落語にこだわろうという気持ちを持ちました」と話し、検査の大切さも力説した。【小林千穂】