<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
熱戦続く東京オリンピックで、柔道は史上最多の金メダル9個、銀、銅合わせて12個のメダルを獲得して競技を終了した。連日メダルラッシュに沸いたが、中継で解説を担当したロンドン五輪代表、現天理大柔道部監督・穴井隆将氏の熱さも、競技の盛り上げに一役買っていたように思う。
ドイツと対戦した混合団体準々決勝でエース大野将平(29)が技ありを奪われると、穴井氏は「うそ、うそ、うそ…」と解説ながら言葉を失い、残り時間は「慌てるな、打て、打て、打て、1発、1発!」と祈るように応援。同準決勝で向翔一郎(25)がROC(ロシア・オリンピック委員会)の選手から、ラフプレーのように見える手の動きをくらった場面では「顔狙ってますよ。こんなことしちゃいけません。明らかに襟じゃない」と憤り、期待した技ありが審判に取られないと「技あり!技あり!なぜだ!」とヒートアップした。
このように穴井氏は、解説と応援と時折の腹立ちを行き来しながら終始熱かった。SNS上ではよりテクニカルな解説を求める声もゼロではなかったが、五輪というお祭りだからこそ中継を見ている「にわか層」には、試合展開の大筋が分かりやすく伝わる穴井氏の解説ぶりが、はまったのではないかと思う。実際に「正直でめちゃくちゃ面白い」「熱い解説にこちらも熱が入る」などと好意的なコメントが大半だった。
ツイッターでは、メダルの有無や色にかかわらず試合を終えた日本代表選手に長文メッセージを寄せており、解説同様、正直で実直な人柄が伝わる。競技終了後、穴井氏はツイッターで「ラジオ、テレビともに見聞きしてくださった方々、ありがとうございました。伝えることの難しさを感じながら、脱線したことは申し訳ありませんでした。1人でも多くの方に柔道の魅力が伝われば。ありがとうございました」と感謝と反省の気持ちをつづっていた。
穴井氏の解説を通じて柔道の魅力を感じた人はたくさんいたと思う。【遠藤尚子】