異例ずくめの東京五輪が閉幕、米メディアは感染対策評価と今後への課題指摘

東京五輪閉会式が始まり花火が打ち上がる国立競技場(渋谷スカイから・撮影・足立雅史)

新型コロナウイルスの影響による1年間の延期や無観客開催など異例ずくめだった東京オリンピック(五輪)が8日に閉会し、17日間の熱戦に幕を下ろした。開会前はコロナ禍で世界中から大勢の選手と関係者が集まることにスーパースプレッダーイベントになる可能性を指摘し、中止論も出ていた米メディアからは、「厳しい感染対策が大部分で機能した」と評価する報道がある一方で、今後に向けた課題が残ったとする媒体もある。

USAトゥデイ紙は、「五輪は終わったが、開催する価値はあったのか? それに答えるには多くの方法がある」と題して今大会を検証。初日のビーチバレー女子でチェコ代表ペアの選手1人が検査で陽性反応を示したことを受けて1次リーグ全試合を棄権した以外、予想に反して大会日程の変更や中止などの混乱はなかったことを伝え、史上最多の93カ国がメダルを獲得したと選手の健闘をたたえた。

その上で、約154億ドルとされる莫大(ばくだい)な開催費用に触れ、実際の支出は公式の数字のおよそ2倍になるとみられ、70億ドルを除くすべてが日本の納税者の負担になると指摘。新型コロナの感染拡大で無観客になったことは、日本人にとってはディズニーワールドの隣に住んでいるのに入園が禁じられているようなものだとし、それでもその維持のためにお金を支払うことが期待されていると皮肉った。

また、開催国の金銭的負担だけでなく、五輪の頂点を目指すアスリートも大きな犠牲を強いていると指摘し、体操女子の女王シモーネ・バイルズの棄権を引き合いにメンタルヘルスの問題についても論じている。

ニューヨーク・タイムズ紙は、「五輪バブルは不気味な幽霊船」と評し、「社会から切り離され、閉所恐怖症のような状態」と厳格な感染対策と無観客試合を総括。また、コロナ禍で無観客開催となった今大会はテレビ放映のために作られた光景であり、時に不条理なほど舞台管理されていたと放映権を持つテレビ局の力にも言及した。

緊急事態宣言下でありながら、会場内で観戦できなかった一部のファンが会場周辺に集まって混雑が見られたことに触れるなど運営方法に疑問を呈すも、「もしパンデミックでなかったら、最もよく組織された五輪として歴史上の上位に入る大会だったであろう」と語った国際オリンピック歴史学会のデービッド・ワレチンスキー理事のコメントを紹介している。

ロサンゼルス・タイムズ紙は、新型コロナの感染拡大が続く中でアスリートたちによる感動的な場面はあったものの国民は東京の街で五輪を開催していることが感じられず、なぜ東京で開催されたか分からないまま五輪の喜びがなかったと指摘。海外からの観光客もおらず経済の活性化につながることもなく、世界各国の人たちと飲み交わしながら感動を分かち合うこともできなかったと伝え、コロナ禍で行われた今大会での経験は次に行われる主要な国際イベントで生かされるべきであるとしている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)