市川海老蔵「意義ある」10年目の巡業公演「三升先代萩」7役、早替わりも

歌舞伎「三升先代萩」に出演する市川海老蔵は笑顔で報道陣の取材に応じる(撮影・滝沢徹郎)

歌舞伎俳優市川海老蔵(43)が20日、都内で、9月に行う巡業公演「秋の特別公演 古典への誘い」の取材会に出席した。

演目は「通し狂言 命懸歌舞伎ノ道筋 三升先代萩」。仙台藩伊達家のお家騒動を題材にした物語で、海老蔵は大悪人、忠臣、乳人(めのと)など7役を演じ、早替わりも見せる。

「旅(巡業)の中で7役やるのは、現場も変わり、裏で走る動線も日々異なる。コロナ禍の中ということで、宙乗りやまわり舞台はない。あくまでも歌舞伎的な2次元、平面の演出の中でどこまでやれるのかが見どころです」と話した。

少しでも多くの人に歌舞伎に触れてもらいたいと始めた「古典への誘い」は今年で10年目。海老蔵は「本来だったら(昨年)襲名をしていて市川團十郎白猿になっていた。一区切りで(同公演を)やめていた可能性もある。コロナ禍で襲名が延期、そしてさまざまなことが起こっている中で、10年目をできることは意義のあること」と語った。

東京オリンピック開会式では「暫(しばらく)」を披露し話題になった。海老蔵は「大変光栄なことだと思います。世界中がパンデミックと戦っている中、いろんな反対意見もあり、やらなきゃいけないと思っている方もいる中、そこに参加したのは複雑ではありますよね。もろ手を挙げて喜べることではないですが、大事なことは、頂戴したものに対して素直に応じ、歌舞伎俳優として日本の文化を世界、日本の方々にお目にかける機会をいただいた。歌舞伎俳優、伝統文化に携わる1人としては役目の大きな仕事だったと思います」と振り返った。

「秋の特別公演 古典への誘い」は9月4日の札幌を皮切りに、27日まで全国16カ所20公演。