西島秀俊32歳岡田将生に「大人がいっぱいの芸能界こんな純粋で大丈夫?」

映画「ドライブ・マイ・カー」初日舞台あいさつでカンヌ映画祭脚本賞のトロフィーと記念撮影する、左から濱口竜介監督、西島秀俊、岡田将生(撮影・村上幸将)

西島秀俊(50)が20日、東京・TOHOシネマズ六本木日比谷で行われた主演映画「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)初日舞台あいさつで「大人がいっぱいいる世界で、こんな純粋な人で大丈夫なんだろうか? と心配になるよ」と、共演の岡田将生(32)が純粋すぎるあまり、生き馬の目を抜くような芸能界でやっていけるかと心配した。15日に32歳になったばかりの岡田から「10、20代じゃなく30代です!!」と切り返されると、西島は「本人を前に、ごめんね。十分、タフで大人ですけど、繊細でもろい部分を案じる。(純粋さ、繊細さを)持ったまま外が強くなっていったら、1ファンとしてうれしい」とエールを送った。

西島は劇中で舞台俳優で演出家の家福(かふく)悠介、岡田は高槻耕史を演じた。家福が満ち足りた日々を送る中、脚本家の妻音が、ある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう。その2年後、喪失感を抱えたまま生きる家福は、演劇祭の演出で向かった広島で、寡黙な専属ドライバー渡利みさきと出会い、1度は拒否するも受け入れる。音と深い関係がある高槻を俳優として演出する中、心が揺れ動く家福だったが、みさきとともに過ごす中で、それまで目を背けていた、あることに気づかされていく。

家福と高槻が車内で対峙(たいじ)するシーンは、映画の中でも屈指の見どころだ。西島は映画について「自分が出ていて、作品の中に映っているけれど、それは自分とは違う。他の作品とは違う…(観客の)皆さんと近い」と自身が見た感覚を説明。岡田も「西島さんもおっしゃっていましたが、僕も自分じゃない感じがして、お客さんとして見ている自分は初めて。今後ないだろうなと思っている節があります」と、西島と同感だと語った。

「ドライブ・マイ・カー」は、作家の村上春樹氏(72)が13年11月発売の「文芸春秋」12月号に発表した短編で、同誌14年3月号まで連続で掲載した「女のいない男たち」と題した連作の第1弾。14年の短編小説集「女のいない男たち」(文春文庫刊)に収められており、濱口監督は同作に加え「女のいない男たち」に収録された6編の短編の中から「シェエラザード」「木野」のエピソードも投影し、脚本を作り上げた。

またこの日、登壇予定だった、みさき役の三浦透子(24)は16日に新型コロナウイルス感染者との濃厚接触の疑いが生じた。PCR検査の結果は陰性だったが、家福音役の霧島れいか(49)も、17日に濃厚接触者との接触があったため、いずれも安全を考慮して欠席した。

「ドライブ・マイ・カー」は、カンヌ映画祭で日本映画史上初の脚本賞を受賞し、この日、トロフィーがお披露目された。濱口竜介監督は「おふたりとも思慮深くて真っすぐな方。幸せでした」と2人に感謝した。