ミス・アース・ジャパン吉田小夏さん“喜びと誇りを持って”21日世界大会

日本代表として世界大会に挑む吉田さん(ミス・アース・ジャパン提供)

北海道旭川市出身の吉田小夏さん(27)が21日に「ミス・アース」世界大会(オンライン開催)に初出場する。同コンテストは環境保全を訴える美の祭典。7月に行われた「ミス・アース・ジャパン」で北海道代表として初めてグランプリに輝き、世界大会出場権を獲得した。19歳からドイツにバレエ留学。海外で目にしてきた社会や環境問題について発信し、90カ国を超える代表の中、日本代表初の頂点を目指す。【取材構成・永野高輔】

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22年間、バレエで磨いた心身の美しさが、世界大会への扉を開く、きっかけとなった。

吉田さん 最初はミスコンというものに、あまり乗り気ではありませんでした。でも、コロナ禍もあり、しばらく舞台に立てない期間が続いていて。日本に戻ってきて何か新しいことに挑戦したいなと。そんなときに妹にすすめられ、舞台人として、チャレンジしてみようと応募しました。

バレエダンサーとして欧州を回る中で、世界が抱える問題に直面した。生活の中で実際に経験したことが「ミス・アース・ジャパン」を目指す動機になった。

吉田さん 欧州では国によって、水道の水が飲めない街もありました。生活していたベルリンは、大きな街でしたが、風呂に毎日入れなかったり、日本とは生活環境が違いました。道路には、他の国から来た難民の人が座って、パンを分け合っていたり。中には靴を履いていない子どももいました。私は靴も履いていて食べ物も水も持っている。その人たちの視線が忘れられませんでした。日本では分からないことばかり。私に、何かできる力があれば、という思いでした。

英女優のオードリー・ヘプバーンを尊敬する。ヘプバーンも幼少期にバレエを学んでいた。女優として脚光を浴び、後半生はユニセフ親善大使になり、恵まれない人たちへの援助活動に尽力した。

吉田さん 女優としてあれだけ成功した後、ゆっくり穏やかな生活に入るのではなく、誰かのために愛を注ぎ続けられたというところが、すごいなと。そうなるには、何かを突き詰めないと、その先には進めない。私もバレエを続ける上で、いろいろなことを犠牲にしながら前に進んできました。ヘプバーンさんの生き方を知り、何か少し自分にも感じるものがありました。世界の人と交流する機会に恵まれ、現状を目の当たりにし、人や動物、植物のために何かできることはと考えていたところに「ミス・アース」がありました。

北海道代表として初めての日本代表。高校まで旭川で過ごし、ドイツ生活を経て、2年前に北海道に戻ってきた。地元の期待も強く感じている。

吉田さん 北海道大会では、私が代表になったことを、周りのみんなも自分のことのように喜んでくれたことが、とてもうれしくて。北海道の代表として見た目の美しさだけでなく、人として、ミス・アースとして伝えられることが何なのかということも、しっかり発信したい。座右の銘は、immer mit die Freude und Begeisterung(ドイツ語で「どんなときも喜びと誇りを持って」)。ドイツでバレエを学んでいた頃、師匠の方からずっと言われ続けてきた言葉。何事にも、その思いを忘れずに、取り組んでいけたら。

◆ミス・アース 国際的な地球環境問題を訴えるミス・コンテスト。01年にフィリピンで第1回を開催。ミス・ワールド、ミス・ユニバース、ミス・インターナショナルと並ぶ、世界4大ミスコンテストとも呼ばれる。選ばれた女性は1年間、環境保全に対する意識向上を促すため活動する。日本代表のミス・アースはまだ出ていないが、現テレビ朝日の紀真耶アナウンサーは、青学大在学中の12年に、ミス・アース・ジャパン選考会で、ファイナリストになっている。

○…審査は「ミス・アース」オンライン上で1日から始まっている。吉田さんは、既に本部のあるフィリピンのラジオに、各国代表者の中から選抜されゲスト出演するなど、注目度が上がっている。公式フェイスブック(https://www.facebook.com/MissEarth/)には応援コメントも書き込める。

◆吉田小夏(よしだ・こなつ)1994年(平6)8月16日、北海道旭川市生まれ。5歳からバレエを始め旭川北高卒業後、ドイツにバレエ留学。18年ジャパン・バレエ・コンペティション金賞。趣味はピアノ、読書、ドライブ、スポーツ観戦。特技はズボンの裾上げ。尊敬する人はオードリー・ヘプバーン。170センチ、50キロ。家族は両親と妹2人、犬1匹。