連載24年も世界を駆けるワンピース「FILM RED」までの歩み

尾田栄一郎氏が総合プロデューサーを務めるアニメ映画「ONE PIECE FILM RED」のティザービジュアル(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会

漫画「ONE PIECE」の原作者・尾田栄一郎氏(46)が総合プロデューサーを務めるアニメ映画「ONE PIECE FILM RED」が製作され、22年8月6日に公開されることが決定した。21日、放送1000回を迎えたフジテレビ系アニメ「ワンピース」(日曜午前9時半)の番組内で発表された。

「ONE PIECE」は、ゴム人間になった少年モンキー・D・ルフィが海賊王を目指し、海賊団“麦わらの一味”を率いて、海賊王ゴール・D・ロジャーが残した“ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)”を求めて航海する物語。漫画誌「週刊少年ジャンプ」で1997年(平9)7月22日に連載がスタートし、フジテレビ系アニメ「ワンピース」は、2年後の1999年(平11)10月20日に放送を開始した。連載は1月4日発売の同誌で連載1000話を迎え、9月3日にはコミックスの100巻が発売。そして21日にテレビアニメも放送1000回に到達。そのことを記念して、この放送1回に限り、初代オープニング曲でアニソン歌手きただにひろしのファーストシングルでもある「ウィーアー!」を、新規作画の映像とともに復活放送した。

原作は、11年11月発売の64巻で400万部、12年8月発売の67巻で同405万部と、初版発行部数の日本記録を更新し続け、21年7月19日の99巻発売中の累計発行部数は4億9000万部を突破。日本を代表する少年漫画だが、連載開始から24年で親から子へと読者層が広がる、日本屈指のコンテンツとなっている。

尾田氏は、1000話達成の際、記念プロジェクト特設サイトに直筆のメッセージを寄せた中で「冒険はここへ来て、最終章に片足をつっこんでます。1000話もやってしまった、だけど、1000話やったからこそできる、面白すぎるストーリーがあるのです! あるのですよ!! なんやかんやで今ご縁のある世界中のONE PIECEファンの皆様! 長いお話になりましたが、もう少しの間、ルフィたちの冒険をどうか見守ってやってください!!」と現状をつづった。さらにコミックス100巻が発売された9月3日付の朝日新聞、読売新聞、毎日新聞の朝刊に掲載した全面広告には、尾田氏が作業場で筆を走らせる写真に加え「物語は終盤です。」(コメントは全て原文のまま)という決意の言葉も記された。

21日にフジテレビ系で1000話が放送されるにあたり、1話からルフィを演じてきた声優田中真弓は、フジテレビを通じてコメントを発表。「こんなに長い間1000話も見続けてくれたなんて、本当に感謝です。始まった時は、このアニメが1000話も続くなんて誰も想像していなかったと思います。最近、友人からコミックスの表紙を一生懸命書き写している小学生の子がいると聞いたんです。それってつまり、まだ始まった頃は生まれていなかったんですよね。そんなに小さい子からも愛されているなんて、本当にすごいなって思います。あと何年かわからないですが、生きて最終回まで行きたいです。尾田っちにありがとう、そして視聴者の皆さんにも感謝です」と、尾田氏とファンに感謝した。

また、米Netflixが実写化し、全世界独占配信するドラマシリーズ「ONE PIECE」の制作も進行中で、9日(日本時間10日)に主人公のルフィ役をメキシコの人気若手俳優イニャキ・ゴドイ(18)、剣豪ゾロ役に新田真剣佑(24)を起用するなど、メインキャストが発表された。

エクゼクティブ・プロデューサーを務める尾田氏は「お前がおれか!!」と口にしたルフィの直筆イラストとコメントを発表。「製作発表から何年だよ!  ホントだよねー。でもちゃんと進んでるんですずーっと! 文化の違う人達とチームを組むんだから簡単じゃないよ! でも、だからこそ生まれるものが必ずあるはず!! ひとまずメインキャストを発表できる事となりました!(中略)笑顔、口の大きさ、手の大きさ、雰囲気、所作、声質、演技力、身長、仲間同志のバランスetc…! 世界各国のスタッフと議論を重ね、決定しました! 彼らこそ“麦わらの一味”になりうる人達です!! 完成まではまだ少し時間がかかりますが、世界中のみなさんに手放しで楽しんで貰える作品を送り出せるようがんばります! 続報にご期待ください!!」(コメントは原文のまま)と制作に意欲を見せている。

連載開始から24年、アニメの放送開始から22年が経過した「ONE PIECE」だが、世界屈指のエンターテインメントコンテンツとして、その動きは全世界を巻き込んで加速する一方だ。その中心にいる“生みの親”尾田氏が製作総指揮や総合プロデューサーの立場で、深く関わって製作されるアニメ映画は、09年の「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」、12年の「ONE PIECE FILM Z」、16年の「ONE PIECE FILM GOLD」に続き4作目となる「ONE PIECE FILM RED」。同氏が脚本を担当する黒岩勉氏(48)に対して「脚本、素晴らしいです!」と太鼓判を押しただけに、日本国内にとどまらず、全世界にインパクト与える作品になることは必至だ。