「第34回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」が昨年12月28日に日刊スポーツ紙面とニッカンスポーツ・コムで発表されました。発表当日に掲載しなかった部分も加えて、受賞者インタビューでの言葉をあらためて掲載します。
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「燃えよ剣」の原田眞人監督(72)にとって、石原裕次郎賞は3回目の受賞だ。「日本のいちばん長い日」で2回目の同賞を受賞した時、授賞式で「また戻ってきます」と宣言、言葉通りの受賞となった。
「名誉ある石原裕次郎賞ですから、1つ取るだけでも大変なのに、3回目はかなりハードルが高い。受賞できたのは本当にうれしいです」
「燃えよ剣」を映画化したいという思いは、10代後半のころ、映画監督になる前から持っていた。
「『燃えよ剣』という聖なる炎をずっと掲げて1人でずっと走ってきました。最初に家族がサポートしてくれ、仲間たちが次々と現れ、キャスト、スタッフが現れ、応援してくれる人たちが出てきた。数十年、半世紀以上の思いとともに走り続けてきたのです。ここまで積み上げてきた最高傑作だと思っています」
司馬遼太郎の原作に描かれる土方歳三を「幕末の激動の中で傑出したスタイル、筋を通した生き方があった」ととらえている。主演の岡田准一が見事に表現した。
「僕が思っていた以上のものを、岡田さんは出してくれました。芹沢鴨や藤堂平助ら、土方が絡む戦いの殺陣はすべて、岡田さんに考えてもらい、話し合いながら撮りました。すごく刺激があり、毎日鳥肌立つような思いで興奮して時間が過ぎていきました」
大勢の登場人物、大がかりなロケなど、映画らしさが満載だ。
「映画館で映像と音楽を浴びる体験をしてもらわないといけないし、そういう映画を作る最後の監督になるまでやります」
黒澤明監督や裕次郎さんにも触れ、喜びを重ねた。
「最近の作品はライトフードの方に走ってると思います。登場人物が少なく、軽い作品です。そういった作品もおもしろいですが、黒澤明監督が撮ったような、あるいは石原裕次郎さんが目指していたようなフルコースのディナー的な映画が評価されにくくなっている時代なんです。だから石原裕次郎賞で認めてもらえたことで、裕次郎さんと一緒にフルコースのディナーを食べ映画を語り合える、そんな気持ちにもなりました」
すでに公開待機作が完成しており、さらにその次の作品もクランクイン。精力的だ。
「そのまた次の作品の脚本は終わっていて、そのまた次の作品の脚本を書いています」
アイデアは書きためたメモから生まれる。
「若いころから映画を見る、本を読む、どんどん作りたいことをメモしておいて作りたい映画をとにかく書くんです。ある日パズルの組み合わせのようにつながるんです。正しい方向に進んでいく空気感が生まれるんです。新作、クラシック、配信作品をどんどん見て、映像的な刺激は常に受けています」
監督デビューして45年近くたち、日本を代表する監督の1人だ。それでも「まだ成長途上。やりたいことの半分はできていない」と言う。
「僕にとっての生涯の一本を選ぶとしたらハワード・ホークス監督の『赤い河』(日本公開51年)。西部劇への思い入れはすごく強いので、モニュメントバレーで西部劇をぜひ撮りたいです。あとどうしても撮りたいのは原爆投下の話です。脚本はほぼ完成しています。『日本のいちばん長い日』で広島キャンペーンに行った時に、原爆のことは描いてくれないんですか、と言われました。今一番語らなければいけないと思います。あと10年以内に実現したいですね」
日々映画のことを考えているが、料理でリラックスすることもあるとか。「青唐辛子を刻んでリラックスしたりね。でもアイデアが浮かんで、そのままパソコンの前に行くこともありました」と笑った。【小林千穂】