「シン・エヴァンゲリオン劇場版」102億円で21年度の日本映画興収1位

日本映画製作者連盟の2022年新年記者発表会に登壇した、左から東宝の市川南取締役常務執行役員、松竹の迫本淳一社長、映連の島谷能成会長、東映の手塚治社、KADOKAWA山下直久代表取締役執行役員(撮影・村上幸将)

日本映画製作者連盟(映連)の2022年新年記者発表会が25日、都内で行われた。21年の映画界の概況と興行収入(興収)10億円以上番組が発表され、東宝、東映、カラーが配信したアニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(庵野秀明総監督)が102億8000万円を記録し、アニメ、邦画を含めて1位となった。

また「名探偵コナン 緋色の弾丸」(永岡智佳監督)が同76億5000万円で2位、細田守監督の「竜とそばかすの姫」が同監督のキャリアハイとなる同66億円で3位と、アニメ映画がベスト3を独占した。

21年の年間公開本数は、新型コロナウイルス感染拡大の最初の年となった20年の1017本(邦画506本、洋画511本)から959本(邦画490本、洋画469本)と58本減となり、9年ぶりに年間公開本数が1000本を下回った。

一方で、年間興収は1618億9300万円で、20年から186億円増えて同年対比113%となった。興収での発表となった00年以降で最高となる2611億8000万円を記録した、19年との対比では62%となった。年間興収の内訳は、邦画が20年の約1092億円から190億円増の同1283億3900万円なのに対し、洋画は同340億円から335億円と減った。邦画は20年対比117%、19年対比90%と回復傾向にある一方、洋画の厳しい現状が浮き彫りとなった。

映連の島谷能成会長(東宝社長)は「19年は動員人口、興収とも最高記録でしたが、年が明けてコロナに襲われ、この2年で大きく興収を失った」とコロナ禍以前、以後の日本の映画業界の概況を説明。その上で「ただ、邦画は順調に回復している。大変、厳しい状況には置かれましたが、日本の興行市場が換気、感染予防対策をしっかりしており、この2年間で大きな休業を体験することがない」と映画業界の感染拡大予防対策の徹底ぶり、成果を強調した。

そして「邦画は回復してきたのが、まず1つ。ただ興行収入自体、回復の途上にある最大の要因は、洋画の落ち込みだと思う。期待していた大きな洋画が、15作品が翌年に公開が延期されたり、ストレートに配信に行った。さまざまな要因があって洋画が厳しかった。興行会社にとって厳しかった」と洋画の厳しい現状を指摘した。

22年については「正月興行が非常にいい。邦画、洋画両方で大変、素晴らしい作品が並んでいる。老若男女に楽しんでいただける映画がたくさん出てくる。映画界の当たり年だと思っています」と評した。一方で「オミクロン株が猛威を振るい、まん延防止等重点措置が発出された。何とか拡大が収まってもらって、良い形でお客さまに届くように、心から願っている次第です」と、新型コロナウイルスの感染拡大が、これ以上、進まないことを願った。