3代目藤間紫「挑んだ」襲名披露で見せた! 京鹿子娘道成寺で鐘の上に立つ

三代目藤間紫襲名披露・紫派藤間流舞踊会で披露した京鹿子娘道成寺のラストで、鐘の上に立つ3代目藤間紫(紫派藤間流藤間事務所提供)

09年に亡くなった祖母藤間紫さんの名跡を継ぎ、21年2月に紫派藤間流家元を襲名した3代目藤間紫(27=藤間爽子)が30日、東京・国立劇場大劇場で、三代目藤間紫襲名披露・紫派藤間流舞踊会を開いた。

藤間紫は1部の最後に舞台に立つと、歌舞伎舞踊の中でも女形の最高峰と言われる「京鹿子娘道成寺」を披露。演目最大の見せ場である、観客の目の前で衣装を一瞬で変化させる引き抜きを4回披露すると、演目の最後には4メートル弱の高さのある鐘に上り、右手を頭上に突き上げた。

襲名披露舞踊会は、21年2月28日に東京・赤坂日枝神社で継承の儀で、師匠であり、2代目紫の市川猿翁(83)から継承した際に、国立劇場大劇場での開催が内定していた。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響をにらみつつ、改名して初代藤間翔(かける)を襲名した兄の貴彦(30)らと、この1年、慎重に準備を進めてきた。

この日の舞踊会は、初世藤間紫十三回忌追善も兼ねており、ロビーには舞踊家と女優として一時代を築いた祖母の写真も飾られた。藤間は舞踊会のパンフレットに寄せたコメントの中で「京鹿子娘道成寺は、舞踊家として、ぜひ挑戦してみたいと思い続けて参りましたので今回、挑ませて頂くことに致しました」と、演目を選んだ思いをつづった。その上で「まだまだ修業中の身ではありますが、初世の教えである『心から踊る』、2代目の『無心に演じる』を心に刻み、諸先輩方の教えを受け、初世と2代目両師により培われた大きな名跡に恥じぬよう、一生懸命芸道に励んで参ります」と今後の意気込みもつづった。