「(秘)色情めす市場」ベネチア映画祭選出、日活ロマンポルノ初の世界3大映画祭

ベネチア映画祭クラシック部門に選出された日活ロマンポルノ作品「(秘)色情めす市場」の田中登監督(C)日活

日活は9日、1974年(昭49)公開の映画「(秘)色情めす市場(まるひしきじょうめすいちば)」(田中登監督)4Kデジタル復元版が、ベネチア映画祭クラシック部門に選出されたと発表した。日活ロマンポルノの作品が、カンヌ、ベルリンを含む世界3大映画祭に選出、上映されるのは初めて。ベネチア映画祭は昨年9月に開催も、コロナ禍でクラシック部門の発表、開催が延期されていた。「(秘)色情めす市場」は10日から5月26日まで開催されるクラシック作品の映画祭「CLASSICI FUORI MOSTRA」の会期中の同12日に上映される。

「(秘)色情めす市場」は芹明香(せり・めいか)が主演し、日活ロマンポルノを代表する監督の1人として知られる、田中登監督の代表作。19歳のトメは大阪・釜ヶ崎で組織に入らずに客を引くフリーの娼婦で、店やヤクザから組織に入るよう言われても頑として従わないほど強気だが、知的障がいのある弟には限りなく優しい。そんなトメが、同じ娼婦の母との諍い、指名手配犯にそっくりの男や、駆け落ちしてきたカップルとの出会いと別れ、そして弟の出奔を通して、決意した覚悟を描く。

隠し撮りしたドキュメンタリーのような生々しい映像や芹の圧倒的な存在感、モノクロからカラーへ転調する爆発力があり、公開時は専門誌「映画芸術」ベストテンで一般映画も含めて3位となった。約1100本あるロマンポルノ作品の中で最高傑作とする映画人も多く、特に愛されてきた1本だ。

田中監督は明大文学部在学中に、ベネチア映画祭で主演の三船敏郎さんが男優賞を受賞した、黒澤明監督の61年「用心棒」などの作品にアルバイトとして参加。同年に明大を卒業し、助監督として日活に入社し、鈴木清順、今村昌平、西河克己、舛田利雄、小澤啓一ら多くの日活所属監督の元で修業した。

日活がロマンポルノに転向後、72年に「花弁のしずく」で監督デビュー。7作目の「(秘)女郎責め地獄」(73年)で日本映画監督協会新人奨励賞を受賞し「実録阿部定」(75年)、「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」(76年)、「人妻集団暴行致死事件」(78年)はキネマ旬報ベストテンに選出。日活ロマンポルノにおけるエース監督としての地位を確立した。

また、東映にも招かれ、高倉健さんが菅原文太さんと最後の共演を果たした後、東映を退社した75年の「神戸国際ギャング」や「安藤昇のわが逃亡とSEXの記録」(76年)でも監督を務めた。

80年代以降は2時間ドラマを中心にテレビ作品へと活躍の場を拡大し、映画と並行して数多くのテレビドラマ作品を手掛け、06年10月に69歳で亡くなるまで25本の映画と78本のテレビ作品を残した。