是枝裕和監督初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」カンヌ映画祭コンペティション部門に選出

手掛けた初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」が、カンヌ映画祭コンペティション部門への出品が決まった是枝裕和監督(C)藤井保

世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭事務局が14日、ラインアップを発表し、是枝裕和監督(59)が手掛けた初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」が最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品された。18年に同賞を受賞した「万引き家族」以来、4年ぶりの出品。19年にパルムドールを受賞した「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)にも主演した、韓国の俳優ソン・ガンホ(55)とのタッグで2度目のパルムドールを目指す。

「ベイビー・ブローカー」は、子供を育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていくことができるように用意された“ベビーボックス”を巡り、そこで出会っていく人たちの話を描いた物語。世界中の映画人たちとタッグを組み、新作を生み出してきた是枝監督が、韓国の製作・俳優陣と長年温めてきたオリジナルの企画だ。20年8月の製作発表時点で、19年のカンヌ映画祭でパルムドール、翌20年の米アカデミー賞で外国語映画として史上初の作品賞に加え監督賞、脚本賞、国際長編映画賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)に主演したソン・ガンホとカン・ドンウォン(41)の出演を発表。さらに、是枝監督の09年「空気人形」に出演したぺ・ドゥナ(42)との再タッグも発表している。

是枝監督は、19年の映画「真実」で初めてフランスとの国際共同製作で映画を作り上げた。「ベイビー・ブローカー」は「#生きている」(原題)、「最も普通の恋愛」、「国家が破産する日」、「MASTER/マスター」、「プリースト 悪魔を葬る者」などを製作した韓国の映画社ジップが製作。配給は韓国映画界の大手CJエンターテインメントが行う。同監督は製作発表の際「今回は、僕にとっては前作に続いて母国と母国語を離れての映画作りになります。言語や文化の違いを超えて一体何が伝わり、共有出来るのか? そもそも監督とはどういう存在なのか? 作品作りを通して、もう少し踏み込んで模索してみたいと思っています」とコメントしている。

企画成立の経緯については「始まりは、やはり、役者さんでした。ソン・ガンホさんとは最初は釜山映画祭で、カン・ドンウォンさんは仕事で東京に来た時にお会いして以来、おふたりと、東京や、ソウルや、釜山や、カンヌで交流を続けてきました。最初はごあいさつ程度でしたが、お話を重ねていくうちに、一緒に映画を、という流れに自然と変化していきました」と語った。

また、ペ・ドゥナについては「2009年にご一緒してから、『また必ず一緒に、次は人間の役で』と固く誓っていたので、10年越しの夢がかなったことになります」と「空気人形」で主人公の空気人形のぞみ役で起用した時から、次は人間役で起用することを約束していたことも明かしている。

◆「ベイビー・ブローカー」 クリーニング店を営むサンヒョン(ソン・ガンホ)と、赤ちゃんポストがある施設で働くドンス(カン・ドンウォン)の裏稼業はベイビー・ブローカーで土砂降りの晩、ソヨン(イ・ジウン)がポストに預けた赤ん坊を連れ去る。翌日、思い直したソヨンが赤ん坊不在に気づき警察に通報しようとすると「大切に育ててくれる家族を見つけようとした」と白状。あきれたソヨンだが成り行きで2人と養父母探しの旅に出る。尾行する刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)も追う。

 

◆是枝裕和(これえだ・ひろかず)1962年(昭37)6月6日、東京都生まれ。87年に早大第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加しドキュメンタリー番組の演出を中心に活動。95年、初監督作「幻の光」がベネチア映画祭金のオゼッラ賞を受賞。カンヌ映画祭出品は、01年「DISTANCE」のコンペ部門が初。04年は「誰も知らない」で柳楽優弥が史上最年少14歳で男優賞受賞。15年には「海街diary」をコンペ部門、「海よりもまだ深く」をある視点部門に出品。14年に制作者集団「分福」立ち上げ。