「THE TIME,」出演の学生キャスター嶺百花「誰かを元気に」局アナ志望就活やめ全力投球

晴れ間に元気な笑顔を見せる嶺百花キャスター(撮影・中島郁夫)

はじけるような笑顔がまぶしい。TBS系「THE TIME,」(月~金曜午前5時20分)に、お天気キャスターで出演中の嶺百花(21)。青学大4年の学生キャスターだ。昨年10月に同局が社運をかけて始まった朝番組に抜てきされた。

毎朝中継で気象情報などを表現豊かに明るく伝え、番組にさわやかな風を吹き込んでいる。仕事と学業を両立する学生キャスターの素顔に迫った。

   ◇   ◇   ◇

大きな瞳を輝かせながら「嶺百花です!」とあいさつの声が響き渡る。この日の中継地点、千葉・東京ドイツ村から戻ってきた直後だったが、一切疲れをみせずに、取材が始まった。「眠いですか?」と聞くと「そんな、そんな!」と明るく返してくる。

番組スタートから約半年がたった。

「毎日、毎回毎回刺激的です。中継先によって会う方も違って、そこで頑張っている方もいらっしゃるので、そういう方のお話を伺ったり。天気も毎回違いますし、伝えがいがあるなあって思います」

昨年、勉強会などのプログラムが用意され、伝統ある「ミス日本コンテスト」に挑戦した。その様子をYouTubeでみた番組関係者の目に留まった。当時は番組詳細が発表されておらず、「TBSの人と会う」とだけ聞かされてオーディションに向かった。後日、合格連絡を受けて、TBSの肝いりで注目番組への出演だと知った。

「本当に私でいいんですかっていう感じでした。ありがたくて、すごく貴重な機会です」

学生時代から、テレビ局のアナウンサーになりたかったという。高校時代、部活でうまくいかず、落ち込んでいる際に、スポーツ実況するアナウンサーの言葉を聞いて救われた。モットーは「自分の言葉を通して元気になってほしい」。

局によって時期こそ異なるが、アナウンサー志望の学生には、3年の春と夏に採用試験が待っている。アナウンススクールにも通い、春のインターン選考が終わったタイミングで「THE TIME,」出演が決まった。長年夢みた局アナを選ぶか、目の前のチャンスを取るか悩んだ。家族ともじっくり話し合った。

「アナウンサーとして、頑張っている人の姿を届けたいっていうのがあった。『THE TIME,』のお仕事はいろんな中継先にいくことができて、いろんな人たちとの出会いがあるなって思ったので、自分がやりたいこととも合っていて、元気を届けられるっていうのも私の生き方とマッチしていたので、やりたいなあって思いました」

決断まで長い時間はかからなかった。就職活動をスパッとやめてTBSの関連会社に所属する形でキャスター人生をスタートさせた。

午前5時20分スタートに備え、前日午後4~5時に就寝。同11時に起きる昼夜逆転の生活になった。午前2時30分ごろの自宅出発前までに、台本チェック、大学の課題などをこなす。同3時前に局に到着すると、メークなどの下準備をして同4時30分に中継車で局を出発する。

中継を終えて、局に戻り、番組の反省会にも出席する。仕事を終えるのは午前9時を回る。授業があれば大学へ向かい、無ければ帰宅する。

「3年生の後期とかは中継が終わった後、中継車で学校まで送っていただくこともありました。(単位は)大丈夫でした。ギリギリ!(笑い)」

周囲の仲間が就職活動に励んだり、サークル活動、アルバイトなどにいそしむ中で、ストイックに時間を使い、大好きなキャスターの仕事を優先させる。

「やっぱりやりたいことをやっているので、つらいとかはあまり思わなくて、ありがたいなあ~って思っています」

仲間とわいわい過ごしたり、旅行に出かけたり、大学生らしいことをしたいと思いもあるが「(仕事上)夜は絶対無理なので、大人数の飲み会に参加したことがないんです。今は自分がお仕事で成長したいって気持ちの方が大きいんです」。

中高チアリーディング部時代は全国優勝を経験。努力し続ける力を培った。厳しい環境でも「ガッツと根性です」と笑いながら乗り越えた。集団の中で組織に貢献すること、仲間のために動くことも学んだ。どんな時でもムードメーカーとして明るく振る舞った経験は、キャスターの仕事にも確実に生かされている。

中継では、短い時間ながら、必要な情報を的確に伝える。例えば、「温かい」という言葉にもどのような表現が適当か、頭をひねっているという。中継先で何かを紹介する際は、そこに関わる人々の思いを自分の言葉に乗せる。言葉の表現方法をいくつも用意できるように訓練を積み重ねる。他局も含めて天気中継の研究にも余念がない。

大学4年の今、どんなキャスターに成長するか、将来の自分を描いている。

「自分の言葉で誰かを元気にできるような、そういうような声を出していけたらいいなと思います。ちょっとなんかくさいですけど、ははは。本当に思っています」

○…中継での表現レパートリーのメモ、中継直後や放送を見返して出た反省点などをノートにまとめている。現在2冊目に突入。「恥ずかしいですね、こういうの話すの」と照れた。元気の源は「ギョーザ」。「朝からギョーザ食べたりします。くさいかもしれないですけど、マスクつけているので大丈夫かな(笑い)」。好きなタレは「しょうゆ、酢、ラー油」の王道と、酢にコショウをかける「酢コショウ」。

明るい性格をのぞかせる一方で、ぶれずに目指す道を歩いて行く信念と気持ちの強さが伝わってきた。【佐藤成】

◆嶺百花(みね・ももか) 2000年(平12)7月4日、東京都生まれ。青学大国際政治経済学部在学中。21年3月「第53回ミス日本コンテスト」でミス日本「水の天使」に選出。中高はチアリーディング部。大学では競技のチアリーディングがなかったため、ゴルフ部に所属。最初のスコアは「300」をたたいたが、ベストは「93」まで成長。160センチ、血液型A。

◆「THE TIME,」◆ 安住紳一郎アナウンサーが月~木曜、香川照之が金曜MCを務め、JNN各局からの列島中継なども交え、テンポよく、的確に情報を届けていく。嶺はお天気キャスターとして、3月までは1人で毎日関東近郊から中継を担当。4月からは気象予報士の増田雅昭氏とともに、月~木曜は東京・港区の竹芝、金曜は関東近郊にお出かけして中継に臨む。