「ギネス芸人」チェリー吉武、芸人の原点「人を喜ばせたい」胸に“逆輸入ブレーク”狙う

ギネス世界記録の認定証を手に、雄叫びをあげるチェリー吉武(撮影・村上久美子)

今年3月末にWAHAHA本舗を退所したチェリー吉武(41)が「ギネス芸人」として、日本へ“逆輸入ブレーク”を期して、自らの“ケツ”をたたいている。

最初のギネス世界記録は13年。「30秒で最も多く、くるみをお尻でつぶした数」だった。くるみを床に並べ、お尻で次々に殻付きのくるみをつぶしていくもの。当時71個で、現在は78個の記録を保持する。その後、30秒から1分間へ尺を広げて122個、これもギネス記録に認定された。

「僕のお尻がギネスの代名詞だったんで、お尻保険に入ってたんですが、月3500円払えなくて滞納したままです。今は払ってません」

お尻シリーズでは、危険な目にも遭った。

「お尻でサボテンを受ける記録を作ろうと思って、やってみた。これ、お尻は皮下脂肪あるからいいんですけど、足に当たってトゲが刺さり…化膿(かのう)して、たいへんなことになりました」

お尻シリーズ以外では、1分間で最も多くパンツをはいた枚数(36枚)や、30秒間で最も多く付箋を体にはった数(33枚)…記録の認定数は63個、保持数は26個を数え、挑戦した数は「数え切れない」と言う。

きっかけは13年に英BBCの子供番組にレギュラー出演したことだった。「日本で言えばEテレかな?」という番組。お尻でくるみを割ることができるか-に挑戦する企画で、BBCは品川庄司の庄司を呼ぼうとしたが、スケジュールが合わず「僕のお尻に白羽の矢が立った」そうだ。

英国の子供たちに大人気となり、ある時、現地の幼稚園を訪ねると100人以上が集まり「ミスター・チェリー」は大スター。「あまりに興奮して、ゲロを吐く子もいた」そう。

ただし、日本風に言えば「体操のお兄さん」的人気ではなく「僕としてガチャピンと思ってやってます」と言う。

何がそこまで、チェリーをギネスに駆り立てるのか-。「人を喜ばせたい」。芸人としての原点の思い、子どもたちの喜ぶ顔をもっとわかせたい。単純な思いからのようだ。

19年には雑誌「ニューズウイーク日本版」企画「世界が尊敬する日本人 100」に、イチロー、羽生結弦とともに取り上げられ、21年には全米の人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」に出演。今年2月には世界のギネス人が集結するイタリアのギネス記録挑戦番組「Lo Show dei record」に出演し、新たに6個のギネス記録を打ち立てた。

国内でも、たんぽぽ白鳥久美子と結婚し、コロナ禍で挙式中止となったため、20年8月放送の「新婚さんいらっしゃい!」でリモート挙式。「ペアで1分間、何回キスができるか?」に挑み、277回で記録認定された。

白鳥から提案された「1分間で最も多くあごでカウンターベルを鳴らした回数」に臨み、149回で認定されている。昨年、第1子の女児を授かり「家族ぐるみ、3人でできるギネスも…夢見てますね」。と言いつつも「でも、子供は芸人にしたくない。公務員とか」と思わず本音も出た。

“ケツ”から始まり、体をはって世界に挑んできた男-なのだが、なぜか、日本ではまったくウケない。

「ギリギリのところ、攻められない。海外ではOKでも、日本ではダメ。いためつけられない。死活問題です。ソフトにするとおもしろくないし…」

だが、いつか日本でも-“ケツ”意は揺るがない。「お尻シリーズとか、何かで僕が大会を主催するとか、盛り上がりたいですね」。そんな男を、読売テレビ「朝生ワイドす・またん!/ZIP!」が特集。13日放送予定の「イマコレMITENA」コーナー(午前7時10分頃予定)で、取り上げる。

同番組には、13年の初ギネス、19年ニューズウイーク掲載時にも出演しており、チェリーは「す・またんさんには背中を向けて寝られません」と感謝。え? 背中? 指摘すると「足? ですか? まあ、そんな男です」と、ボケとも本気とも分からない返しで、感謝を表現していた。