NiziU・MAKOの姉、山口厚子 クラファンで地元愛写真集 福岡・八女市に恩返し

山口厚子ファースト写真集のお気に入りカット(金山拓未氏撮影)

<情報最前線:エンタメ>

夢を1つかなえた、達成感あふれる表情が印象的だ。モデルでタレントの山口厚子(26)。昨年12月、クラウドファンディングで「初写真集製作プロジェクト」を発表。目標金額の100万円には1日半で到達し、約300冊を製作した。タイトルは「福岡産のあっちゃん」。写真集という夢をかなえながら、地元にも恩返しした。

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インタビュー部屋に入ると、出来上がった写真集を大切に抱え「本当にできちゃいました!」と笑顔を見せた。昨年12月にプロジェクトを発表後、最終的に目標金額の約2・9倍の、289万円の支援が集まった。ロケ地は、主に地元福岡県八女市。カメラマン、メークと計3人で、2月上旬に4泊5日で撮影した。

「自分が18年間育った場所なので、八女市に恩返しがしたいという思いがありました。八女市をまだ知らない人が多いという現状もあります。だから、写真集という夢をかなえながら、魅力を『自分が発信しよう!』となりました(笑い)」

よく通った飲食店はもちろん、観光スポットでも撮影した。

「写真集を通して、地元ってすてきだなって、より思いました。何にもないところだと思っていたけど、改めて写真で見るとすてきな場所がたくさんあって。1つ1つが本当にあたたかくて、人のつながりがあって。写真集を持って八女に遊びに来てほしいです」

八女茶だけでなく、地酒も有名だ。撮影前に、1日の8時間以外は何も食べない「8時間ダイエット」を行ったが、地酒の前には完敗だったという。

「一生残るものなので、一番良いコンディションで撮れたかなって思っています。でも、2日目、3日目くらいから…八女は地酒がおいしいんですよ。カメラマンさんたちと、一緒に飲んでしまって…写真集はほぼ撮影順になっているので、ページをめくるごとに、だんだんむくんでいっているかもしれません(笑い)。なので、一番最初が一番きれいですね」

お気に入りカットには、大濠公園で撮影した1枚をチョイス。

「『ドアップに耐えた自分』みたいな(笑い)。撮影時は寒くて、自然と涙が出てきて。それが逆に目がキラキラしているように見えて、良い味出ているなって。これを撮った時に、『これきた!』って思いました」

写真集では、山口のすてきな表情、そして自然豊かな街並みが多く見られる。そもそも、クラファンに参加した理由は?

「まず、手元にお金がなかったからです(笑い)。(昨年事務所を退社し)フリーだから、事務所のバックもない。でも、作りたい。『じゃあどうする?』って考えた時に、クラファンを見つけました。知ってはいたけど、自分の口から『クラファン』って言うとは想像していませんでした」

もちろん、大変なことも多かった。企画提案や日程決め、ロケハン、予算決め、全て初めての経験だ。

「2週間前に手みやげを持って行って『よろしくお願いします』って、事前にあいさつ回りもしました。衣装を決めて購入したり、交通手段の確保など、大変なことはたくさんありました。『写真集が作りたい』という気持ちだけで動いたので、その後に何があるのかまったく考えていなくて(笑い)。その思いが強すぎて動いていました」

一番大変だった作業は?

「宛名を手書きで書いて、郵送する作業ですね。徹夜で1日かかりました。全て終えてから、その作業はPCで出来るって知りました(笑い)。でも、手書きで書いた宛名を『取っておくね』って言ってくれる人もいて、すごくうれしかったです」

写真集を作りたいと思ったきっかけは、自分が憧れの長谷川潤(35)の写真集で力をもらったからだ。「少しでも見てくれた人の明日の活力になればいいな」。たくさんの思いが詰まった1冊だ。タイトなスケジュールで、表紙に帯を付けられなかった等、反省点もあるというが「写真自体は100点です!」と自信満々に自己採点した。

「初めて自分から『やりたい』と思って、意志を持ってやり遂げたことです。今までは正直、来た仕事をやるだけで、好きなこともあれば嫌なこともある状況で。だけど今回は、自分だけの楽しみじゃなくて、ファンの方も楽しみに待っていてくれて。作ったことが幸せだったけど、SNSとかで反響を聞けたことが一番幸せだなって。その時『私、このためにやっていたんだ』って気付いたんです。作ることで精いっぱいで完成がゴールだと思っていたけど、その後にもっと幸せなことが待っていたんです」

一部の支援者には、自身の誕生日に開催した「お渡し会」で写真集を渡した。この大きな挑戦で得た物は計り知れない。

「すべての物事に多くの人が関わって、多くのストーリーがあると知れたことが、今後の自分に一番生かせるのかなって思います。大変なこともありましたけど、今思うとすべて楽しかったです。こんな自分でもやれたんだなって自信が付きました。(次回作は?)もし次があるなら、東京を舞台にした『上京編』を撮れたらうれしいですね」

今年で芸能生活10周年を迎えた。1つの大冒険を終えた山口の目は、新人のようにキラキラしていた。【佐藤勝亮】

◆山口厚子(やまぐち・あつこ)1996年(平8)4月16日、福岡県生まれ。20年、日本テレビ系「踊る!さんま御殿」「今夜くらべてみました」に出演。同4月にYouTubeチャンネル「福岡産のあっちゃん」を開設し、現在も更新中。趣味は海外旅行、囲碁。特技はダンス。158センチ、血液型A。妹は9人組ガールズグループNiziUのリーダーMAKO。