石川さゆり、紅組最多44回出場の紅白歌合戦「祭りは参加して面白きことですから」/こぼれ話3

笑顔でポーズをとる石川さゆり(撮影・中島郁夫)

15歳で歌手デビューし、今年で50周年の節目を迎えた石川さゆり(64)。「津軽海峡・冬景色」「天城越え」など歌謡史に輝く名曲をお茶の間に届けて半世紀。人生を歌にささげ、常に向上心を忘れない歌謡界のトップランナーだ。

29日の紙面「日曜日のヒロイン」に掲載できなかったアナザーストーリー(一部重複)を全7回に分けてお届けする。【取材・構成=松本久】

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紅白歌合戦は、77年に「津軽海峡・冬景色」で初出場した。以来、昨年までに紅組最多の44回出場。連続出場も38年続けている。初出場をしてから唯一、空いている年は83年だけだ。この時は長女を妊娠中で、とても歌える状況ではなかった。

「臨月でしたからね。皆さんに迷惑を掛けちゃいけないということで歌は辞退しました。でも『生まれていなかったら来てよ』と言われていて、応援だけかなと思いながら、赤いマタニティーを着て行きました」。そして、ステージに上がった。「だから、歌唱はしていないけど、紅白の映像としては19歳(の初出場)から去年まで毎年あるんです」。会場にいる石川を見た五木ひろしが「どうしたの!」と目を見開いて驚いていたという。

紅白の常連である石川の歌唱は、もはや年末の風物詩と言える。紅白への思いを聞いた。

「あれはやはり年末の大きなお祭りですからね。私が初出場をさせていただいた昭和52年のころとは変わり、紅組では私より古い方がいなくなって…。でもやはり祭りは参加して面白きことですから」。そして「若いお客さまから、70、80、90歳というお客さまも聞いてくださるので、家族みんなで楽しんでいただける紅白歌合戦の石川さゆりのコーナーであればいいかなって思います」。(続く)

◆石川(いしかわ)さゆり 本名石川絹代。1958年(昭33)1月30日、熊本県生まれ。73年に「かくれんぼ」でアイドル歌手としてデビュー。77年に「津軽海峡・冬景色」が大ヒットし、同年に同曲で紅白歌合戦に初出場。昨年までに紅組最多の44回出場中。代表曲に「能登半島」「天城越え」「風の盆恋歌」など。19年に紫綬褒章を受章。血液型A。