IUとして絶大な人気のシンガー・ソングライターイ・ジウン 是枝監督と初対面時まさかのスルー

映画「ベイビー・ブローカー」来日記念舞台あいさつに臨むイ・ジウン(撮影・江口和貴)

IUとして世界的な絶大な人気を誇る、韓国のシンガー・ソングライターのイ・ジウン(29)が26日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた韓国映画「ベイビー・ブローカー」来日記念舞台あいさつに登壇した。

イ・ジウンは、是枝裕和監督(60)がコロナ禍で自宅で韓流ドラマにはまってオファーしたと語ると、その1年前に韓国国内の食堂で同監督を見かけ、あいさつをしようとしたものの、監督が自分のことを知らず、そのまま通り過ぎてしまった“スルー状態”だったと明かし、客席を笑わせた。

「ベイビー・ブローカー」は、是枝監督が約6年前にプロット(あらすじ)を書いた際、主演のソン・ガンホ(55)カン・ドンウォン(41)ペ・ドゥナ(42)をイメージし、当て書きした。ただ、イ・ジウンとイ・ジュヨン(30)のキャスティングについて、同監督は「コロナ禍で、僕が家で韓国ドラマに、はまりまして…そこで見て印象に残った、ウワッと思った2人に、お声がけさせていただいた」と説明。その上で「IUさんの昔からのファンに申し訳ない、にわかファンなんですけれども…韓国に渡ってオファーして、本当に夢がかなって、ありがとうございますって感じ。思い通りのキャスティングが実現した1番、幸せな現場。すみませんでした」と笑みを浮かべた。

それを聞いていた、イ・ジウンは「監督は私の作品を見て、音楽を聴いたとおっしゃていただきましたが、監督が私を知る前に偶然、韓国の食堂で監督を見かけました。その時、私は監督のファンでしたが、監督がまだ私のことを知らないので、あいさつしたいなぁと思ったんですけど、することも出来ず、そのまま通り過ぎました」と、是枝監督が自分のファンになる前から、自分は監督のファンだったと強調。その上で「(食堂であいさつ出来なかった)1年後、こうして監督の映画に参加することができ、その時、監督は私の音楽、作品を知っているということで、不思議な気分がしますし、気分が良いです」と笑みを浮かべた。

是枝監督は、司会を務めたフジテレビ宮司愛海アナウンサー(30)から「スルーしたんですか?」と聞かれ「そうなんだよねぇ」と、声をひそめつつ、苦笑した。

7月に日本で放送される「六本木クラス」の原作となった韓国ドラマ「梨泰院クラス」で人気のイ・ジュヨンは「映画について学んでいた学生の頃、是枝監督の映画を釜山映画祭に見に行く学生でした。数年たって、監督が私の作品を見たことがある、私という女優を知っていること自体、不思議」と感激した。

「ベイビー・ブローカー」は、古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、子供を育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていくことができる“赤ちゃんポスト”がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)が、ある土砂降りの雨の晩、若い女ソヨン(イ・ジウン)が赤ちゃんポストに預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、赤ん坊を横流しするベイビー・ブローカーだった。しかし翌日、思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙しようと、ずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、決定的な証拠をつかもうと、静かに後を追っていく。赤ちゃんポストで出会った人々の、予期せぬ特別な旅が始まる物語。

是枝監督は「ベイビー・ブローカー」を韓国の映画社ジップと製作。配給は同国映画界の最大手CJエンターテインメントと、韓国映画界の枠組みでの映画製作に取り組んだ。韓国では、4日に1600スクリーンという大規模な公開規模での初日を迎えると、同国のランキングで首位スタートを切った。18日には韓国国内の観客動員数が100万人を突破している。