<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK)では一般人を相手に、「A-Studio+」(TBS系)では芸能人を相手に、座持ち良くエピソードを引き出していく。笑福亭鶴瓶(70)の話術は、毎度これといった変化があるわけではないが、不思議とマンネリ感がない。
12年間「怪盗グルー」の声を担当しているシリーズ最新作「ミニオンズ フィーバー」の7月公開を前に話を聞く機会があり、その「秘訣(ひけつ)」を垣間見た気がした。
今回は怪盗グルーが11歳だった時の物語で、鶴瓶の声はいつもよりやや高い。
「(日本語吹替版の)監督さんが『しゃがれてますねえ』と何度も(収録を)止めるんですわ。もともと俺こんな声やん。『アメなめてください』とか、いろいろやらされて…。もう6、7時間ですわ。(スタジオから)出してくれ! てなりますよ。12年やっても全然慣れませんわ」
だが、完成品を見れば、ちょっと大人びてはいるが、まさに「少年」グルーの声がピタリとはまっている。「怪盗」なのだから、多少はしゃがれていた方がませた感じでリアルである。
12年間で計5作。
「コツをつかんだと思ったら、合間が空くから、タイミングの取り方とか忘れる。毎回一からですわ」と、「一から」を楽しんでいるように笑った。
グルーの声の仕事のように間が空くわけではないが、トーク番組の鶴瓶がなぜか、毎度新鮮なのはこの仕切り直し感があるからだと少し納得がいった。
「A-Studio+」の事前取材のくだりにも、「家族に乾杯」の飛び込みにも確かに「一から」の雰囲気がある。パターンの繰り返しはあっても、そのしんどさを本人がみじんも感じさせないから、見ているこちらには、ゲストたちのエピソードがすっと入ってくる。
考えてみれば、アニメの声はこのグルーしかやっていない。個性的な声だけに依頼は少なくないだろう。そんな律義さも1つの仕事が長続きするゆえんかもしれない。【相原斎】