山口智子(57)が、自らのライフワーク「LISTEN.」プロジェクトの10年の歩みを、自らの言葉と美しい地球の風景とともにつづった新著「LISTEN.」(生きのびるブックス)を出版し、8月26日に全国の書店、オンライン書店で発売する。
「LISTEN.」プロジェクトの目的は「その風土に根づいた暮らしから生まれ得た唯一無二の音楽の素晴らしさを、自分の納得いく形で未来に伝える」こと。山口はハンガリーの大平原を旅し、遊牧騎馬民族の末裔(まつえい)「マジャル」と出会い、ユーラシア大陸の今に生きる文化に「遥かな魂の故郷と巡り会えた」と思うほどの感動を覚えた。それとともに、伝統音楽を今に受け継ぐカザフスタンの若者グループ「TURAN(トゥラン)」と出会い、大感動し「音楽の素晴らしさを世界に伝えたい」と「LISTEN.」プロジェクトを立ち上げた。
プロジェクトの立ち上げのきっかけについて、山口は「“LISTEN.”というタイトルが表すように、この地球の素晴らしさに、『耳を傾けたい』と思いました」と語った。その上で「見えすぎる過剰な情報で『知ったつもり』になるのではなく、耳を澄まして、世界を『感じる』センサーを取り戻したい。音楽は、地球の唯一の共通語。音楽は、世界を1つに結ぶ夢を担っていると思います」と説明した。
山口は最小限のスタッフとともに、現地リサーチから音楽家との交渉、映像の編集や字幕の作成までをも自ら行う。「LISTEN.」には、そうして撮影された世界中の美しい風景と、その土地で日々を生き、歌い、踊る人々の姿を捉えた写真に加え、音楽家のオリジナル演奏シーンを堪能できるQRコードも多数、掲載した。
プロジェクトのスタートから10年を越え、訪れた国は26カ国にも及ぶ。ハンガリーのロマ民族の楽団、セルビアのバルカンブラスバンド、クレタ島の美しくも勇壮な舞踏、ジョージアのポリフォニー(多声音楽)、ギリシャのブルース・レベティコ、サルデーニャ島の火祭り、パタゴニアのパンパを駆けるガウチョたちの詩、アルゼンチンの多彩な音楽、イヌイットの喉
歌・カタジャック、リトアニアの「希望の歌」、インドの口承音楽コルナッコル…。山口の音を追う旅は、地球のさまざまな土地に根づき、そして受け継がれ続ける音楽を一望できる奇跡的な記録でもある。
特に印象深かった旅の思い出は? と聞かれると、山口は「イヌイットの歌にひかれて、北極圏の凍った海の上を犬ゾリで走ったり、南米アルゼンチンで、野生と知性あふれる牧童『ガウチョ』と大平原を馬で駆け巡ったり…。音は、素晴らしい冒険への扉を開いてくれます」と振り返った。
「LISTEN.」は、未来へ伝える音のタイムカプセルでもある。山口は、プロジェクト参加者に聞く共通質問に「1000年後に開けるタイムカプセルに、あなたは何を入れたいですか?」にちなみ「山口さんご自身がタイムカプセルに入れたいもの何ですか?」と聞かれると「もちろん“LISTEN.”『今』の地球の最高にカッコいい宝物が詰まっています」と答えた。
山口は、後書きに、こう記している。
「時は移ろい、肉体は朽ちる。その定めを知る人間だからこそ生み出せた、未来に手渡したいと願わずにはいられない、力強い、色あせない美しさが地球にはあふれている。人類の運命も、地球の行方も、うそのない『音』の導きにかかっている気がしてならない。命への感謝を、歌い、奏で、踊り、笑い、希望を育んでいけますように。互いに敬い合い、憧れ合い、力を合わせて進んでいけますように。世界が幸福に満ち、戦いのない、平和な地球でありますように。」
山口は、ファンに「『LISTEN.』は、未来に伝えたい地球の美しい音を収めたタイムカプセル。元気な明日を手繰り寄せる『音』に導かれた10年の物語を、ぜひ“体感”してください!」とメッセージを送った。