日活は24日、過去10年間に世界50カ国以上で上映されてきた名作を、デジタル復元版で上映する特集上映「Nikkatsu World Selection」を、11月3~同10日まで東京・シネスイッチ銀座で開催すると発表した。
特集上映されるのは、1912年(大元)に創立し、今年110周年を迎えた日本最古の映画会社である日活の、珠玉の8作品。31日に開幕するベネチア映画祭クラシック部門に選出された「神々の深き欲望」と「殺しの烙印」(鈴木清順監督)も含まれる。上映作品は、以下の通り。
◆「丹下左膳余話 百万両の壺」(山中貞雄監督、35年)東京国際映画祭日本映画クラシックス部門選出
◆「河内山宗俊」(山中貞雄監督、36年)東京国際映画祭日本映画クラシックス部門選出
◆「月は上りぬ」(田中絹代監督、54年)カンヌ国際映画祭クラシック部門、東京国際映画祭日本映画クラシックス部門選出
◆「乳房よ永遠なれ」(田中絹代監督、55年)東京国際映画祭日本映画クラシックス部門選出
◆「幕末太陽傳」(川島雄三監督、57年)ベルリン映画祭フォーラム部門選出
◆「殺しの烙印」(鈴木清順監督、67年)
◆「神々の深き欲望」(今村昌平監督、68年)
◆「(秘)色情めす市場(まるひしきじょうめすいちば)」(田中登監督、74年)ベネチア映画祭クラシック部門選出
中でも貴重なのが、37年の「人情紙風船」の封切日に日中戦争に召集され、翌38年に戦地で28歳の若さで死去し同作が遺作となった、山中監督の「丹下左膳余話 百万両の壺」と「河内山宗俊」だ。「丹下左膳余話 百万両の壺」は戦後、カットされた幻のシーンを本編に加えて復元。「河内山宗俊」には、原節子さんが当時15歳で出演し、可憐なヒロインを演じている。
また、日本映画史に残る映画女優でもあった、日本人2人目の女性監督・田中絹代監督の「月は上りぬ」「乳房よ永遠なれ」の上映も貴重だ。監督としての才能が近年、世界中で“新しい発見”として驚きをもって注目されており、パリで劇場公開されると、映画館に行列ができるほどの人気に。米ニューヨークのリンカーン・センターでの特集上映も大盛況で、現在は、ロサンゼルスのアメリカン・シネマテークで開催中。また21年の東京国際映画祭でも上映された「乳房よ永遠なれ」は今年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で上映された。「月は上りぬ」には、60年の映画「闘牛に賭ける男」をもって芸能界を引退した、石原音楽出版社の石原まき子取締役名誉会長が、北原三枝として浅井家の三女節子役で出演している。
時代劇、感動作から、昨年のベネチア映画祭クラシック部門に選出され、日活ロマンポルノの作品として初めてカンヌ、ベルリンを含む世界3大映画祭に選出、上映された「(秘)色情めす市場」まで、多彩なラインアップがそろった。