倍賞千恵子(81)の主演映画「PLAN 75」(早川千絵監督)が、第95回米アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表に決定した。
日本映画製作者連盟(映連)が2日、発表した。各国の代表作品から候補作が絞られ、23年3月に受賞作品が決まる。
早川千絵監督(46)は、配給のハピネットファントム・スタジオを通じてコメントを発表した。
「『PLAN 75』という映画はどんどん一人歩きしていくなあと、不思議な気持ちでいます。もはや自分が監督した映画だという気がしないくらい、見てくださった方の映画になっていると感じています。このような評価をいただき光栄です」
「PLAN 75」は、早川監督の長編初監督作。是枝裕和監督(60)が初めて総合監修を務めた、18年のオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の中の、7分程度の1篇を、早川監督が新たに構築してオリジナル脚本を手掛けた。キャストも一新し、倍賞が9年ぶりに主演し、カンヌ映画祭(フランス)の、ある視点部門に出品された。
1961年(昭36)に映画「斑女」でデビューした倍賞の、主演映画が同映画祭に出品されるのは初めて。日本人監督の作品が同部門に出品されたのは、17年の黒沢清監督「散歩する侵略者」以来5年ぶり。日本人女性監督としては、15年に「あん」がオープニング作品に選ばれた河瀬直美監督以来2人目だった。新人監督賞「カメラ・ドール」には至らなかったものの、準ずる作品と評価されスペシャルメンションを5月28日(日本時間29日)に授与された。
6月17日に全国90館で封切られると、満75歳から生死の選択権を与える社会制度を施行した、近い将来の日本を描いた衝撃的な内容に話題が沸騰。公開週にはメイン館の東京・新宿ピカデリーの週末動員数で「トップガン マーヴェリック」の動員を抑えて1位を記録。初日から19日間で興行収入(興収)は2億円を突破。公開から1カ月以上が過ぎたが、上映館は最大で176館まで拡大。初日から8月11日までの56日間で興行収入3億円を突破し、公開から2カ月たった現在もロングラン上映中だ。
倍賞演じる角谷ミチは、夫と死別し、子どももいないため長年、1人暮らしを続け、78歳になってもホテルの客室清掃で生計を立て、誰の世話にもならずに生きてきた。職場では同年代の女性と助け合っていたが、同僚が勤務中に倒れたことを機に退職を申し渡される。折しも日本は少子高齢化が急速に進み、政府は解決策として75歳以上の高齢者に自らの“最後”を選ぶ権利を認め、支援する社会制度<プラン 75>を施行する。ミチは、ついのすみかと思っていた団地の取り壊しも決まり、新居と職を探すも高齢を理由に決まらず、追い詰められた結果<プラン 75>を申請する。
一方、磯村勇斗(29)演じる、市役所の<プラン 75>申請窓口で働く岡部ヒロムは“最後”の選択の相談に来た高齢者に、淡々と接し<プラン 75>を勧める。市役所の外で展開するキャンペーン中に、反対派から汚物を投げ付けられても、制度に対して何ら疑問も抱いていなかった。それが、叔父の幸夫(たかお鷹)が申請に訪れたことで、近親者のため担当から外れ、孤独な叔父と向き合う中で<プラン 75>に理不尽さを感じるようになる。
「PLAN 75」は8~18日に開催される第47回トロント映画祭(カナダ)のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門や国際映画祭へ出品が相次ぎ、現在、フランス、シンガポール、タイ、台湾など30カ国以上の国と地域で配給が決定している。