尾上菊之助(45)が13日、都内で、国立劇場10月歌舞伎公演「通し狂言 義経千本桜」(10月1~26日)の取材会を行った。
「義経千本桜」は義太夫狂言の3大名作の1つ。源義経の流転の旅を軸に、滅亡した平家の武将が生きていたというフィクションや、人間の姿を借りたキツネも登場する。今回は3つのプログラム(A、B、C)に分けた通し上演で実施する。
菊之助は平家の武将・知盛、市井の無頼漢・権太、源九郎狐の3役を演じ分ける。20年3月に上演予定だったがコロナ禍で中止に。今回は念願の“3役実演”になる。
菊之助は「20年から2年半もたってしまいました。あの時は3役を務めあげることで稽古をしていましたが中止となり、つらい気持ちでいっぱいになりました」と振り返った。そして「あの時に時計の針が止まってしまった。今回はぜひ公演を実現して、止まった針を動かしたい」。
3つの役を演じることには「大変さを感じたが、物語の素晴らしさも感じている」という。
3つのプログラムのうち、Aは「幼子への愛」を描いているという。「昨今、小さい女の子が命を落とした事件を耳にした。自分も子どもを持ったから」と、演技にも力が入る。Bは「義」でCは「忠」。「これが私のテーマです」と続けた。
「千本桜」については「勝者のない物語で、千本の桜のように登場人物が美しくきれいに散っていく」と説明。「人を慈しむ気持ちが色濃く描かれている。それをさまざまに描いている」。そして「45歳で演じられる精いっぱいを演じたい」と決意を語った。
国立劇場は1966年(昭41)の開場から56年が経過して老朽化が進行。来年10月末に閉場をして取り壊し、29年に再開場を予定している。今回は「初代国立劇場さよなら公演」と銘打った歌舞伎の第1弾となる。