高畑淳子「気付くとティッシュの山」五島の言葉に涙止まらず 「舞いあがれ!」ヒロイン祖母役

「舞いあがれ!」で、ヒロインの祖母役を演じている高畑淳子

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」五島編で、肝になる人物は、ヒロイン舞の祖母祥子。高畑淳子(68)が、その五島の風景に溶け込むほどなじんだ役作りを発揮している。五島のことばが難しく、練習を重ねるうち、その響きに号泣していたという。制作のNHK大阪放送局を通じて、高畑の思いが寄せられた。

   ◇   ◇   ◇  

若き日の高畑にとって「朝ドラは登竜門」だった。「何度受けたか…4回ぐらい落ちました」。そんな記憶がよみがえり、出演が決まった際には「そりゃあ、もううれしかった」。

五島の漁師だった夫を亡くし、島で1人で娘めぐみ(永作博美)を育てた祥子。孫の舞にとって、良き理解者になっていく。

「祥子は、海の資源と陸の資源を無駄なく使って無駄なく生きる『SDGs』を難しい理屈なしに当たり前のこととして、おおらかに実践している人です」

娘のめぐみとはけんか別れして14年も会っていないなど、頑固な性格でもあるが「空を見て、海を見て暮らしている人の強さがあり、発する言葉に深みがある」と感じている。

その五島ことばは、高畑も難しかったという。

「練習をしながら何度も何度も読んでいると、気づくとティッシュの山ができているほど、涙が止まらないんですよね。例えば『変わりもんば、変わりもんとして堂々と生きたらよか。周りに合わせんでよか。自分ば知っとる人間が一番強かけん』というセリフがあるのですが、五島の言葉で言うからいい。標準語で『自分を知ってる人間が一番強いからね』とか言われても、カッチーン! となるかもしれませんよね」

船舶を操るシーンもあるが「船の免許は持っていません。撮影のために2階建てで運転できる船を探してくださったんです。本当は上で運転しているけど、私が運転しているように見える船で撮影した」。こう明かし「海面すれすれのところを走るので、座っているすぐ横に波が走っていくのが見えて、本当に気持ちよかった。五島は本当にきれいでした」と振り返った。

現代を「とても生きづらいと感じる人が多いと思う」と言う。脚本家陣の1人に聴覚障害のある人がおり、高畑は「だから言葉を紡ぐというなりわいに、ご自身のいろいろなことを詰めておられるのだなと思いました」と感じたそうだ。

「人生って、いろいろなことにぶつかりながらも生きていかなければならない。朝ドラは『今日もがんばるぞ!』と思ってもらうような役割もあるんだろうなと思いました」

ヒロインを演じる福原遥とは、以前も別ドラマで共演経験があり「肌も透けるようで、本当におきれいで。舞ちゃんが抱える繊細さ、気を使いすぎたりなど、福原さん自身が、常にそういう気配りできる優しさがあるので、まさに適役だと思います」とも見る。

「ストレスが多い現代ですが、見る角度を変えれば、親子の問題を含めて氷解することもあります。目線が変われば、顔を上げて生きていける。そういう力になれたら。私たちは、畑を耕しているわけでも、お米を作っているわけでもありませんが、演劇やお芝居は、そういう面でのお肉を作っていると思うのです。人の気持ちを強くできる。それが、テレビや舞台の一番の仕事だと思います」

女優としての気概も意気込みに込めた。