曽我廼家いろは、高校の同級生ビスケットブラザーズ原田泰雅から刺激「共演できたら最高ですね」

南座公式キャラクターの「みなみーな」を手に持ち笑う曽我廼家いろは(撮影・竹本穂乃加)

曽我廼家(そがのや)-。曽我廼家五郎、十郎が興した曽我廼家兄弟劇で国内初の喜劇を上演し、喜劇の祖と言われる伝統ある一門。その由緒正しい名を昨年、39年ぶりに継承した1人が曽我廼家いろは(30)だ。

松竹新喜劇で活躍してきた彼女が17日、日刊スポーツの取材に応じ、大きな名前を背負って活動してきた約1年間を振り返った。

違和感はありますか-。こう聞くと、いろはは「慣れてきましたね。(本名の)桑野藍香(あいか)でいないといけないときも、普通に“曽我廼家いろは”って書きそうになるくらいになってきた気がします。もう書き慣れてきましたし、言い慣れてきました」とはつらつと答えた。

当初はプレッシャーに感じていたが、今は曽我廼家を名乗る1人としての責任を感じつつある。「松竹新喜劇の人ってあからさまにわかるので。曽我廼家って名のつく人はもう面白い人っていうイメージがあって、面白い人が曽我廼家なんやと思ってましたし。今、生きてる中で曽我廼家を名乗る女性は私だけですしね」

元々はきらびやかな世界が好きでタカラジェンヌに憧れ、松竹新喜劇に入団したときも娘役志望だった。それでも、彼女は“曽我廼家いろは”。現在上演中の「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」(1~23日、京都・南座)の「えくぼ」では、初めて本格的な三枚目・秋子を演じている。

「役を聞いた瞬間から、もう逃げたくて逃げたくて。『え、これできる?』みたいな。本当に不安すぎたんですけど、やるしかない、やるしかないってひとり言のようにつぶやいて、もう死に物狂いです」

声の出し方も、メークの仕方も、歩き方も、何もかもが違う。藤山直美から「血のにじむような思いで演じられております」と口上で言われるほど苦労しているが、これまでとは違う観客の反応は素直にうれしかった。

「笑ってもらえるってすごい感覚なんですよね。多分味わってみないと分からないんですけど。笑いって本当にいろいろあるけど、(新喜劇は)本当に真面目にお芝居して笑ってもらってるんで。いたって真面目に芝居した上で笑ってもらえるっていう不思議な感覚と、笑ってもらったときの安心感とがあります」

受け身の娘役とは違い、常に発信、発信の役どころ。プレッシャーは大きいが、自分が前に出ることで笑いが起きる空間は、格別だった。新しい役に挑戦しているいろはは、これからもさまざまな役に挑戦したいと意気込む。

「憧れは月城小夜子さん。三枚目も二枚目もされてた方で、面白いし、でもちゃんと引いた芝居もできる。自分が主としてやるところももちろん魅せられる方やけど、普通にいるだけでいい芝居は本当に何もせずいるだけっていう。引くときは引く、でも出すときは出せる、そんな役者になりたいなと思います」。二枚目、三枚目、関わらず、どんな人にでもなりきれる役者を目指す。

いろいろな役をやりたい。松竹新喜劇を広めたい。「曽我廼家いろはさんですか」と街で声をかけてもらいたい。そう心を燃やす裏には、刺激を受ける芸人がいる。

「たいが(ビスケットブラザーズ原田)と高校の同級生なんですよ。同じ芸能文化科で、3年間一緒だったので。『たいが』『あいちん』って呼び合ってます」

キングオブコントで優勝した際には、思わず「おめでとう」と連絡。常にコントのことだけを考える姿を見ていたからこそ、感慨深かった。「うらやましいですね。いつか一緒にね、何かしらのところで共演できたら最高ですね」とほほ笑んだ。

現在は三枚目を演じているが、1月の「初笑い! 松竹新喜劇 新春お年玉公演」(1月2~9日、京都・南座)では娘役を演じる。「全く違う役どころなので、どっちも見に来てもらってその違いをみてもらえたらうれしいですね。1月の公演でやる『流れ星ひとつ』っていう作品は新喜劇でやったことが1回しかないらしいので、成功させて、23年を笑顔で始められるようにがんばりたい」と意気込んだ。「たいがが『見に行くわなあ』って言ってまだ1回も来てないので、見に来てちょっとでも宣伝してくれたら若い人も来てくれると思うんで。ぜひ来て!」と笑った。【竹本穂乃加】