<第35回東京国際映画祭クロージングセレモニー>◇2日◇東京国際フォーラム
稲垣吾郎(48)の主演映画「窓辺にて」(今泉力哉監督、4日公開)が、観客賞を受賞した。22年1月以降に完成した長編映画を対象に選出されたコンペティション部門15作品から、一般観客を対象に投票を募り、最も多くの支持を得た1作品に選ばれた。
今泉力哉監督(41)は「このような光栄な観客賞をいただき、ありがとうございます。私は東京国際映画祭でコンペ部門は2回目で、日本映画スプラッシュ部門で何度か参加させていただいております」と、18年「愛がなんだ」以来2度目のコンペ部門選出であることなどを紹介。その上で「本当に個人的な、小さな悩み…恋愛映画を作り続けている。戦争、ジェンダー問題が世界である中、取るに足らない個人的な問題を描いた映画を作り続けてきた。映画に限らず、小説というものも大きなものを取りあげて語る。見過ごされるようなことを描きたい」と自身の創作の基本的な理念について語った。
「窓辺にて」は、今泉監督の17作目となるオリジナル作品。稲垣は、編集者である妻紗衣(中村ゆり)が、担当している売れっ子小説家と浮気しているのを知っていながら、それを直接、言えずにいるフリーライターの市川茂巳を演じた。10月30日に新型コロナウイルスへの感染が発表され現在、療養中で、今泉監督は「コロナにかかって、初日も大事を取って登壇できない状況」と稲垣と公開が近い作品の現状を説明した。
この日は、黒澤明監督の1952年(昭27)の映画「生きる」以降、全ての黒澤映画に記録、編集、制作助手として参加してきた、野上照代さん(95)が、東京国際映画祭から特別功労賞を授与された。野上さんが「映画という表現を続けてくれた、他の監督に感謝」と各監督に感謝のメッセージを送ったことを受け、今泉監督は「野上さんが賞をいただいているのが、クライマックスじゃないか。自分が映画を作って、この舞台に立てているのが、うれしい」とかみしめるように言った。その上で「戦争だけじゃなく、コロナなど世界に問題がある。そこにある小さな喜びについて、自分に出来ること、考えられることを考えていきたい」と訴えた。