こだまたいち、先輩・村上淳に促され初主演映画「ゆめのまにまに」初日に大照れで主題歌弾き語り

映画「ゆめのまにまに」初日舞台あいさつに登壇した、左から張元香織監督、こだまたいち、千國めぐみ、村上淳(撮影・村上幸将)

フォーク・バンド「酔蕩天使」でリードボーカルを務める、俳優でフォークシンガーの、こだまたいち(31)の初主演映画「ゆめのまにまに」(張元香織監督)初日舞台あいさつが12日、東京・ユーロスペースで行われた。

「ゆめのまにまに」は、1991年(平3)の設立以来、映画作りにこだわる芸能事務所ディケイドの設立30周年記念映画。この日は、同事務所を代表する俳優の村上淳(49)が、第2MCの形で舞台あいさつを回す、ひと味違った舞台あいさつとなった。こだまは村上から「弾かないのにギターをいつも持っている。今日も持っている。やっぱ歌うんだ?」と促されると「どうしても、歌っちゃうみたいな司会、やめてくれます?」と照れ笑いを浮かべた。その上で、9日から配信がスタートした主題歌「サンローゼ」を弾き語りした。ギターを手に、柔らかく、一言、一言を紡ぐような優しい声で歌い上げると、満員の客席は拍手に包まれた。

こだまは劇中で、不在がちな店主・和郎(村上)に代わって毎日、店番をする古物店「東京蛍堂」のアルバイト・マコトを演じた。撮影は東京・浅草で行われ、東京蛍堂も実在する。浅草の印象を聞かれると「浅草って、ちょっとアミューズメントパークのような、作り込まれたイメージがあった。作品(への主演)が決まってから、とにかく浅草の空気を吸おうと思って、撮影現場の浅草六区付近とか、いろいろ歩き回った。裏路地に入ると、人力車の方の休憩スペースがあったり…裏の生活感がある顔を見ることが出来た。その奥行きも魅力なんだと思えた」と振り返った。

夏の終わりのある日、東京蛍堂にやってきた訳ありそうな女性・真悠子を演じた千國めぐみ(34)は「浅草は、エンタメを楽しむ観光客として行くことが多かった。この映画が決まって、映画に出てくる、幾つかのお店に食べに行った」と振り返った。その上で「食べている人たちの、さまを見るのが楽しくて。常連の人の話を聞いて、東京であって、観光地でもあるんだけど、すごく地元感があった。密接で濃い感じがして面白かった」と評した。

村上は「東京蛍堂に入って、大事にしていらっしゃる骨董(こっとう)の品々に…本物なので、どうやったら勝てるかなと思った。美術、背景ではなしえない。感謝の気持ち」と、実在の店舗の歴史ある商品と、芝居とのせめぎ合いがあったと語った。その上で「現場付近に、私が非常に大好きで、弱ったなぁという時によく聞く、ビートたけしさんの曲のフレーズにある『捕鯨舩』が目の前に。あるじゃんと…食べには行けなかったんですけど、思い出深い」と振り返った。

「ゆめのまにまに」を手掛けた張元香織監督(41)は、多摩美大造形表現学部卒業後、助監督として横浜聡子監督、菊地健雄監督、瀬々敬久監督、越川道夫監督、岨手由貴子監督らの、多数の作品に参加してきた。長編監督2作目となる今作では脚本も担当。撮影はコロナ禍の21年夏に行い、劇中の登場人物もマスクを着けるなど、コロナ禍の浅草の町も描いた。その意図を聞かれ「現代劇を撮るのに、マスクをしているのが日常になったので、出ている人が外している映画を撮るのはウソになる。理解できないというか違和感があった。SFになっちゃうと思った。あとは浅草の町自体が、かつての人気がなかった。自然と21年の浅草を描こうと思った」と説明した。

「ゆめのまにまに」は、初日は東京・ユーロスペース1館での封切りで今後、全国で順次、上映を拡大していく予定だ。村上は「手作りで作られた、小さな小さな作品。監督、主演2人、ちょっと出てる人みたいに(登壇して)一丸となって、お客さまに手渡しに来た感覚。受け取っていただいて…無理にSNSで広げてくださいという口コミも大事なんですけど、我々に必要なのは、今日をスタートに手渡ししていく。長いよ…張元さん」と張元監督に呼びかけた。

こだまは舞台あいさつの最後に「映画業界というものを見た時、棚の上に並べられた、小さい小物のような作品かも知れません」と初主演作を評した。その上で「ですが既に、たくさんの強い思いが込められている。見てくださった皆さんの思いが、ここに乗っていく…そして、この映画は今、ここにある。この思いが乗っていくと信じていますし…長く、どこかで、また愛してもらえるような、時代を超えられる作品になることを願っています」と、満員の客席に熱っぽく訴えた。