新海誠監督(50)が現地時間23日、ドイツで開催中の世界3大映画祭の1つ、「第73回ベルリン映画祭」に初参加した。アニメ映画「すずめの戸締まり」が最高賞の金熊賞を争うコンペティション部門に出品され、主演の原菜乃華(19)とともに現地でフォトコールと公式会見に臨んだ。
新海監督は会見で、描きたかったことについて聞かれ「現代の日本を舞台にした冒険物語を作りたいと思った。自然災害によって人が住めなくなってしまった場所、人口減少によって人がいなくなってしまった場所、そういう場所を旅する少女を描きたいと」と語った。
「すずめの戸締まり」は、原とSixTONES松村北斗(27)が出演。九州の静かな町で暮らす17歳の岩戸鈴芽(原)が“災い”をもたらす扉を閉めることを使命とする「閉じ師」宗像草太(松村)と出会い、日本各地の廃虚を舞台に災いの元となる“扉”を閉めていく、鈴芽の解放と成長を描いた現代の冒険物語。新海監督は、11年に発生した東日本大震災で感じ、考えさせられ、高校生男女の入れ替わりを描いた「君の名は。」を製作したが、同作では直接的に描けなかった3・11を「すずめの戸締まり」で明確に描き込んだことも話題となった。そのことを踏まえ、同監督は「すずめが、どこにたどり着くべきかと考えた時に、12年前に起きた東日本大震災が起きた場所にたどり着き、すずめ自身が災害と向き合うお話にしたかった」と語った。
日本のアニメ映画がコンペティション部門に出品されるのは、02年の第52回で金熊賞を受賞した宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」以来21年ぶりとなる。海外メディアから「重要度はどのように受け止めているか?」と聞かれると、新海監督は「21年前のことは、よく覚えている。ちょうど自分がアニメを作り始めた年だった。日本のアニメが、そんなに遠くまで届くのだという事を教えられたので今、そんな場所に自分がいることが信じられない」と率直な感想を語った。そして「ここに来たことが、12年前に起きた東日本大震災という出来事がいまだに日本人の心の中に残っている、復興していないところもあるということを皆さんに知ってもらえる、とても貴重な経験になったと思う」と語った。
国際映画祭に初めて参加した原は「声優に初挑戦させていただいたので、最初は右も左も分からないことだらけで、何をどうすればいいのか、全く分からなかった。そのことを監督に相談したら『そのままで大丈夫』と言ってくださった。何度もテイクを重ねさせていただいて、納得いくまで挑戦させてもらった。監督に身をゆだねて頑張った」とアフレコを振り返った。新海監督は「初めての不安も含めて演じてもらいたいと思っていた。菜乃華さんの成長と、すずめの成長がシンクロしていた」と語りました。会見終了後には、新海監督と原が海外メディアに囲まれ、サインやツーショット撮影を求められる一幕もあった。
授賞式は25日(日本時間26日)に行われる。