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舞台での活躍がめざましい俳優池田努(44)が、朗読と生演奏が融合した朗読劇「ベートーヴェン-届かなかった手紙-」(3月16~19日、東京・紀伊國屋ホール)に出演する。少人数で動きも抑えた作品になる予定だが、全身を躍動させる気持ちで臨む。活動を続ける舞台の魅力も語った。【小林千穂】
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ベートーベンが死の間際に「わが不滅の恋人」と書いた恋文。なぞめいた相手を探す物語で、主演のA.B.C-Z五関晃一がベートーベンの弟子を、池田はベートーベンとその秘書を演じる。リーディングコンサートと銘打たれ、4人の出演者と3人の演奏家で進んでいく。少人数で、衣装はダークスーツ、動きも抑える。これまで何度か出演した朗読劇に比べ、視覚的にはかなりシンプルな作品になる。
「お客さんにとっての手がかりは、言葉と音楽しかない作品です。言葉によって情景を見せることがかなり重要になってくると思います。ベートーベンの恋模様や当時の情景、心情が見えてきたところに、音楽がわっとくる。きっと魅了されると思います」
激情家という印象があるベートーベンと、冷静な秘書。2役演じる難しさもある。
「朗読に限らず何役かやる時、声色を大げさに変えるとリアリティーがなくなってしまうんです。声色を変えることを意識するより、人物のエネルギーに自分を一致させると声が自然に変わってくるような気がします。声から入ってしまって、エネルギーが置いてけぼりにならないようにしたいです。全身が躍動してなきゃいけない」
数年前、映画館で見た英国の舞台「リーマン・トリロジー」を思い出しているという。
「3人の演者は、子供から老人から、性別も年齢もいろいろ、何役もやるんです。どれもうそくさくなくて、すっと別の役に入っていく。おもしろかったです。もしかしたら落語や講談に近いのかも。僕は神田伯山さんの動画をよく見ていますね。落語や講談も、いろんな役をやって違和感がないのに本人から外れない。すごいですよね」
観客の想像力に委ねる朗読劇。想像力は無限に広がっていくが、読み手の熱、技量1つで大きく左右される。頭ではなくハートが大事になってくると語る。
「朗読が簡単だと思っている人もいるかもしれませんが、むしろ難しいんです。僕たちは、読む読まないの問題でも、覚える覚えないの問題でもなく、やはりその人物、ベートーベンであるとか、(秘書の)シンドラーであるとか、彼らの物語を常に想像して日々を過ごすことが大事になってくると思います。時間をたくさん作って、ちゃんと手の中でこねてあげたい」
近年は舞台を中心に活躍し、今年も夏までの時点ですでに3作出演が決まっている。
「当たり前すぎるんですが、舞台は目の前で、そこでやっているもので、エネルギーが動いている。実際に人がいて、感情の動きや空気の振動がある。300人のお客様がいれば、300の人生があるその人たちがこちらを見てる。こちらのエネルギーとお客様のエネルギーが交流すること自体に意味があり、見に来る人も求めていると思っています」
演劇人のあこがれ、紀伊國屋ホールに立つのは初めてだ。
「本当によく見に行っていた劇場で、まさに聖地のような場所なのでワクワクしてます」
■A.B.C-Z五関と初共演
池田にとってA.B.C-Z五関晃一とは初共演だ。五関も舞台で活躍しており、共通点も感じている。「ジャニーズの方は、いろんな意味でレベルの高い方ばかりだと、今までお仕事をさせてもらって感じています。お芝居に関しても、お芝居以外の振る舞いに関しても、プロ意識という意味で、ジャニーズの方は尊敬しています。五関さんとはこれまで接点がなかったんですが、作品を拝見すると、とても明るい印象で、舞台でとても輝くんだろうなという強さを感じています」と話している。
■画家活動、個展開くほどの腕前
画家としても活動し、個展を開くほどの腕前を持っている池田。芸術家の目からもベートーベンを見ている。「共感できますって言うとおこがましいんですけど(笑い)、くさいことを言いたくなってしまったり、情緒的で想像力豊かなところはよく分かりますね。まったくさっぱりしてないし。不滅の恋人という言葉のチョイスだってすごく大きい。恋人でも愛する人でもなく、不滅の恋人。なかなか出てこない」と話す。好きな曲には、今回の舞台でも演奏される「悲愴(ひそう)」「月光」などを挙げる。芝居で実在の人物を演じる経験はほとんどなかったそう。「皆さんの中にイメージがあると思いますので、そこに当てはめるのかどうか。難しいですね」。
◆池田努(いけだ・つとむ)1978年(昭53)12月17日、神奈川県生まれ。00年に石原プロモーションのオーディションをへて芸能活動開始。07年から1年間、ニューヨークの俳優養成所アクターズスタジオで演技を学ぶ。近年の舞台は「私は世界」「受取人不明」「BETRAYAL 背信」(いずれも主演)など。5月に「桜川家の四兄弟」ほか、8月にはフランスの古典を歌舞伎の様式で上演する「フェードル」が控える。特技は武道全般、絵画、乗馬など。16年には画家デビューし個展開催。21年から舘ひろし率いる舘プロ所属。180センチ。
◆リーディングコンサート「ベートーヴェン-届かなかった手紙-」 ベートーベンの死後、隠し戸棚から「不滅の恋人」あての手紙が見つかる。弟子のリース(五関晃一)は、ベートーベンの秘書シンドラー(池田努)の依頼で、不滅の恋人を探し始める。在りし日のベートーベン(池田)と過ごした思い出を女性たち(谷口めぐ、蓮城まこと)が振り返る。構成、演出は、チェロ奏者の渡部玄一氏。