元千葉県知事で俳優の森田健作(73)が3日、タイ・バンコクのパンヤピワット経営大学(PIM)の客員教授に就任し、学生を前に記念公演を行った。
これまで国会議員や県知事としてタイとの国際交流に尽力。さらに森田によると、日本とタイなどの大学によるアジアオンライン大学(仮称)構想があり、大学間のさらなる交流や協力を要請した。
ソンポップ・マーナランサン学長から辞令交付を受けた森田は「日本では国会議員や知事を辞めると、大学の客員教授や企業の顧問になる人が多い。だが、どれだけ大学や企業のことを知っているのかは疑問。私はPIMの企業理念などを知り、世界を見据えた行動力を教えるという教育方針に感動し、私の方から客員教授をやらせてもらいたいと思った。私は議員時代に2度文部政務次官(当時)をやっていますが、教育が世界をリードすると思っている。アジアの皆さんと友情を深めたいし、特にタイは親日国で仏教国です。勉強や研究は大事ですが、最も大事なことは両国がお互いを好きになり興味を持ち、友情を深めること。日本とタイが頑張れば、世界をリードすることができる」と訴えた。
さらに「今日から私たちは青春の心をもった仲間同士、友人です。年をとりましたが、いつまでも青春です。私は日本では青春の巨匠と呼ばれています。日本とタイの若者のために汗をかきたいし、学生諸君と対話もしたい。両国の発展に尽力したい」と語った。
アジアオンライン大学構想は、ITやDX分野での人材不足が予測されており、日本とタイの若者がデータサイエンスやプログラミング、デジタルゲームなどアジアでニーズの高い学問をオンラインで学べることを目指すという。
PIMはタイ最大級のコングロマリットの1つであるCPグループが設立した企業大学。タイだけでなく世界中の学区制に職業教育と就労機会を提供してきた。
森田とタイとの歴史は古い。アイドル時代の71年、仕事でタイを訪れたのが最初だった。タイから1000通以上のファンレターが届き、招聘(しょうへい)された。ドラマ「おれは男だ!」がタイでも大ヒット。放送から五十数年たった現在でもレコードやポスター、ドラマのDVDなどが出回っている。ドラマの主題歌で森田の歌った「さらば涙と言おう」や「友達よ泣くんじゃない」などはカラオケの上位を占めているほど。中でもプーミポン国王の次女、シリントーン王女(67)は今でも熱烈な“森田ファン”として知られている。森田は「役者冥利(みょうり)に尽きる。タイに来ると、いまさらながらアイドル時代に戻った感じになる」と苦笑いした。
そんな人気ぶりから、県知事時代は千葉県の農水産物や観光を売り込む“海外トップセールス”のために、4度もタイを訪れた。
さらに県知事時代には、計59人に及ぶ短期留学も受け入れたという。森田の発案で、タイの学生が初日に訪れたのはディズニーランド。翌日には温泉につかり、日本のすしをふるまった。もちろん、各家庭にホームステイし座学もあるが、学生からは「毎日勉強だけするのだっと思ったのに楽しかった」と喜ばれたという。
森田は「国が送り出す留学生なので優秀な学生さんたちです。座学で知識を詰め込むだけでなく、日本や千葉での楽しい思い出を作ってもらいたかった。その楽しい思い出が、日本の学生との交流、友情につながり、これが将来の両国の交流にもつながるのです。学生たちは、今度は家族で千葉に来たいと言ってくれました」。
今回のアジアオンライン大学構想は、人材不足という国や起業からの要請によって生まれた。だが、この点に森田はくぎも刺す。「私たちだけで喜んで満足するのはダメ。アウトサイダーの人たちにも興味をもってもらえないと発展はない。多くの人に参加してもらい、楽しく学んで日本を好きになってもらい、青春を謳歌(おうか)しよう」。
森田は、今後も定期的にタイを訪れ、PIMで客員教授として授業を行う予定だ。【竹村章】