<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
卓越した歌唱力から、歌怪獣の異名を取るのが歌手島津亜矢(52)だ。音楽担当記者として、さまざまなジャンルの歌手の歌唱を聴いてきたが、いわゆる歌のうまさでは、日本ではトップクラスに位置するのは間違いない。それは個人の好き嫌いや感覚だけではなく、多くの担当記者も賛同すると思う。
歌唱力がある歌手は、最近のテレビ番組にも引っ張りだこだ。カラオケ系の番組は、幅広い世代の視聴者層に対応できることから、数字が見込めるということで、各局とも取り入れている。テレビ東京系「THE カラオケ☆バトル」やフジテレビ系「千鳥の鬼連チャン」のサビだけカラオケがその筆頭格。TBS系「バナナサンド」のハモリ我慢ゲームも、SNSなどで人気を博している。サビだけも、ハモリ我慢も、1曲すべては必要なく、その部分だけで楽しめるということが、現在のタイパ重視の世の中に適合しているのだろう。
とはいえ、機械での採点で、ただ音程を外さないことだけが歌のうまさでもないと思う。もちろん、音程は最低限のスキルだろうが、ほかにも、声量とかリズム感、表現力、歌のテクニックなどさまざまな要素があると思う。島津はそのあらゆる素養が実に豊かで、どんな楽曲も自分なりにアレンジできることで、多くのファンを魅了している。
その島津が先月、都内で会見し、ポップス曲のみのツアー開催を発表した。
演歌歌手としてデビュー37年目を迎えるが、洋楽邦楽を問わずカバーしたアルバム「Singer」シリーズは累計30万枚に迫る勢いで、今年1月には「Singer8」をリリースした。今年6月には、演歌を歌わないポップス曲だけのツアーを、東京、名古屋、大阪、熊本で開催する。ツアータイトルは「SINGALONG(シンガロン)」で、一緒に歌いましょうとの意味だ。
会見で、島津は「私は演歌の歌手ですけど、いろんなジャンルの歌に挑戦させていただける歌手でいたいなと思っています。いろんなことに挑戦をさせていただくという意味でポップスのコンサートをやらせていただくことになりました」と説明する。このツアーだけの新たなバンドを編成し、ポップス曲の楽曲制作を大物アーティストに依頼しているという。
タイトルについては「コロナ禍がどうなっているのかはわかりませんが、皆さんと一緒に、これまで通りに楽しい空間を共有させていただきたい。一緒に歌ってほしい。一緒に楽しんでほしいという思いでやらせていただくことになりました。いろんな歌に挑戦をさせていただきます。初めての経験ですので、本当にあの今から緊張と、それからわくわく感が入り交じった感じです」と話した。
いきさつや歴史について詳しいわけではないが、いわゆる演歌を歌う歌手は演歌歌手と呼ばれてきた。日刊スポーツもそのように表記してきた。だが、演歌歌手としてデビューした氷川きよしも、最近では、演歌というジャンルの決めつけをいやがり、ジャンルレスを強調する。演歌というジャンルがあることは否定しないし、演歌歌手という肩書がプラスになる時代があったことも否定はしない。ただ、今の時代は、ロックだろうがポップスだろうが、そのジャンルの区別に、ユーザー側もそれほどの意味を感じないように思う。
島津が今年6月に行うポップスツアーでは、いわゆる演歌を一切歌わない。このツアーにあわせてポップスの新曲もリリース。つまり、歌手島津亜矢でしかない。
島津といえば、着物姿が定番だが、会見ではカジュアルな衣装で登場した。ツアーの発表とともに、新ブランドでのDOGグッズの展開も明らかにしたからだ。
愛犬家で知られる島津は4匹のトイプードルを飼っている。「犬なんですけど、あえて娘たちと呼ばせてください」と弁明した上で、犬と生活する中で、既製品のグッズの改善点などを話すうちに、コンサートグッズの延長戦ではなく、DOG&LIFEグッズをプロデュースしECサイトで販売する流れになったという。そして、このブランドもポップスツアーと同名の「SINGALONG」にするという。
会見の際に着たのは、新ブランドのロゴ入りのパーカー姿で登場。愛犬たちについて「言葉はしゃべらないんですけれども、心を通い合わせることはちゃんとできます。私が悩んでいたり、何か壁にぶつかったりしてる時も、人間よりも察知する能力が高く、そばにたら寄り添ってペロペロってなめてくれるとか、とてもいとおしい。この子たちとの暮らしも、私は歌と同じぐらい大切にさせていただいております」と語っていた。【竹村章】