文化庁芸術祭大賞の菊丸が繁昌亭でひるせきトリ 師匠染丸は病床で感涙し筆談で「おめでとう」

文化庁芸術祭大賞受賞を記念し、天満天神繁昌亭で昼席トリを務める林家菊丸(右)と、兄弟子の染二(撮影・村上久美子)

林家染丸一門の林家菊丸(48)が6日、大阪・天満天神繁昌亭で、文化庁芸術祭大賞受賞記念として昼席トリを務めることになり、闘病中の師匠林家染丸(73)に代わり出席した兄弟子の林家染二(61)とともに、会見した。

同劇場では、4月10~16日、受賞記念ウイークとして昼席を上演。同賞の受賞経験がある桂文枝、桂文之助、笑福亭松喬、染二が中トリに入る。

染丸、染二に続いて一門3人目、40代での受賞になった菊丸は「最初、(市外局番が)03でかかってきたので、詐欺か? と(笑い)。文化庁からでした」と笑わせつつ、大先輩を中トリに置き「人間て、一番信じられないのは自分。あえてプレッシャーをかけました」と決意を示した。

上方特有のハメモノ(音曲)や、女性を演じるつやを特長としてきた林家一門。上方では少数だが、30代で一門総帥となった染丸は自らが三味線教室を開くなど、腕を磨き、守ってきた看板でもある。

上方落語の次世代を担う1人でもある菊丸は「いやが応でも世代交代の時期はくる。しっかりと受け継げるように(芸を磨き)。林家一門は少ないですが、おちこぼれはいません。堂々と名乗っていきたい」と、師匠譲りの一門への強い思いも口にした。

コロナ禍でも独演会は欠かさず、今後については「奇をてらわずに、こいつ外さないな、きっちりこなすなと思ってもらえる落語家に。出よりもはけるときに大きな拍手をもらえるようなはなし家になりたい」と語った。

これに、染二は、40代での受賞に「ゆくゆくは人間国宝の扉を開いた」とジョークをまじえたゲキを飛ばしつつ「我々、落語家は60歳にどうたどり着くか。50代で大きく花を咲かせられるのではないか」と期待感を示した。

師匠の染丸は、度重なる脳梗塞などの大病を患い、高座や稽古は厳しい状況だが、筆談でやりとりはできる。今回、受賞を伝えると、染丸は、涙を流して「おめでとう」と書き記し、すぐさま「賞金は?」とペンを走らせたという。病床にあっても、芸人らしく笑わせた様子を明かした。

柔和な表情で、優男風だが、染丸の指導は厳しさで知られた。古典の登場人物を現代風にアレンジするなど、細部にこだわった。菊丸は「ハメモノ、あでやかさなど、今まですでに(兄弟子らが)やっておられましたが、私自身もこれからは意識し、励んでいきたい」と思いを強めていた。