<こんな人>
TBS系特撮ドラマ「帰ってきたウルトラマン」に主演した俳優の団時朗(だん・じろう)さん(本名・村田秀雄=むらた・ひでお)が22日午前4時14分、肺がんのため亡くなった。74歳。24日に所属事務所が発表した。団さんは17年夏に肺がんと診断されるも「ユーモアと優しさを失わず、生きるパワーに満ちあふれて仕事にまい進」(関係者)していたが、昨年末に体調が悪化して力尽きた。葬儀は近親者のみで営む。
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思いっきり濃い顔に似合わず、素顔はシャイな人だった。06年、歴代ウルトラマンがそろったイベントでは、1人言葉少なだったことを覚えている。だが、いくら控えめにしていても、その個性や確かな演技力は随所に強い印象を残した。
まだハーフタレントが珍しかった1960年代、「バタ臭い」顔は異彩を放っていた。ポマードのべったり髪が当たり前の時代に、欧米由来のサラサラ文化を持ち込んだ資生堂MG5は、団さんが三代目CMキャラクターとなってから爆発的に売り上げを伸ばした。
75年の人気連続ドラマ「少年探偵団」は、怪人二十面相の正体が実は「俳優・団時郎」であったというシュールな結末で幕を閉じたが、さもありなんという説得力は団さんだから生まれたのだと思う。
出世作となった「帰ってきたウルトラマン」がシリーズでは異例のキャラとなったのも、その個性ゆえではないかと思っている。涼しい顔で正義を成し遂げた他のウルトラ戦士とは違い、演じた郷秀樹はひたすらもがき苦しむ。自力では変身できず、死の危機にひんして初めてウルトラマンジャックとなる。怪獣に敗北することさえあった。
ここで見せつけた演技のポテンシャルが、後の舞台俳優としての堅実な活動につながり、ヒーロー出身にしては珍しい、多彩な悪役ぶりも印象づけた。まだまだこれからの74歳だった。【相原斎】