岸井ゆきの映画愛さく裂「ただのファン」初来日のスコットランド人女性監督と演技論

映画「aftersun/アフターサン」来日記念舞台あいさつに登壇したシャーロット・ウェルズ監督(左)と岸井ゆきの(撮影・村上幸将)

岸井ゆきの(31)が10日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で行われた英米合作映画「aftersun/アフターサン」(シャーロット・ウェルズ監督、5月26日公開)来日記念舞台あいさつにサプライズゲストとして登壇し、初来日したスコットランドのシャーロット・ウェルズ監督(36)に花束を渡した。

「aftersun/アフターサン」は、22年にカンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、話題作を次々と手がけるスタジオA24が、北米配給権を獲得。父親を演じたアイルランドの俳優ポール・メスカル(27)が、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。11歳のソフィ(フランキー・コリオ)が、父親と2人きりで過ごした夏休みを、その20年後に父親と同じ年齢になった彼女の視点でつづった物語。

岸井は、22年に主演した「ケイコ 目を澄ませて」(三宅唱監督)で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、国内の各映画賞を、ほぼ総なめにした。一方で映画を愛し、多忙になった現在も映画館に足しげく足を運ぶことでも知られる。「aftersun/アフターサン」についても「公開が決まった時から見たいと思っていて、お話をいただき拝見した」という。

岸井は「父と娘の話なんですけど、父は多くを語らない。だからこそ、自分の過去だったり、生きてきたこと…父親の姿から感じるものがあったが、せりふより呼吸、後ろ姿、肌から伝わってきて、素晴らしい映画だと思った。(印象に残ったポイントは)背中…彼の背中」と絶賛。その上で「すごく親子の関係が自然…思うところはあるけれど、2人においての自然が感じられた。私は、お父さんの呼吸を、すごく感じた。演出は、どういう風に話をしていくのかが気になりました」と演出のポイントを尋ねた。

ウェルズ監督は「うれしい感想をいただいた。観客が入ることができる余地が、どれくらいが正しいか考えて作った。岸井さんが、言っていただいように、キャラクターからキャラクターへと呼吸が変遷していったり…呼吸で描きたかった」と説明。「ケイコ 目を澄ませて」も既に見ており「岸井さんの作品も拝見した。素晴らしい役者さんなので、ご存じのように脚本の文字だけでない。役者が(作品に)入って、役を生きなければいけない」と岸井の演技の素晴らしさを踏まえ、たたえた上で演出について語った。さらに「演技においては自然であることを私は好む。ポールは私を信頼してくれて楽しかった。自分の解釈を伝えて、彼の解釈を聞き、息を吹き込んでいただく…素晴らしく表現してくれた意味でも、ポールは素晴らしかった」と、主演のメスカルの演技を絶賛した。

岸井は、舞台あいさつの最後に「自分にとっての正体、自分の持っている不安は何なのかに、自分で回答を出したんだけど…この映画を見て自分、私自身を見ることができて、幾つか自分自身の回答をいただいた。自分の物語になるような作品だと思う。すみません…私は、ただのファンなんですけど楽しい時間を過ごしてください」と客席に呼びかけた。

ウェルズ監督は「岸井さん、今日は来てくださって、ありがとうございます。作品を愛してくださっていることは、私にとって大きな意味がある。作品自体は話さないで情報がなくて、オープンな形で見た方が良いと思う。8年越しで作った。出来れば光が美しく投影される、映画館で見ていただいた方が良い作品」などと語った。