40年の記者生活で「ラ・マンチャの男」に出会えたことは最高の宝物/79年から見続けた記者評

松本白鸚(中央)主演ミュージカル「ラ・マンチャの男」千秋楽のカーテンコール(東宝演劇部提供)

歌舞伎俳優松本白鸚(80)が初演から54年間にわたって主演してきたミュージカル「ラ・マンチャの男」のファイナル公演が24日、神奈川・横須賀芸術劇場で千秋楽を迎えた。

通算1324回上演したライフワークでもあり、役柄に俳優人生を重ねてきた作品の最後。白鸚は万感を込め、感謝と「命ある限り」芝居を続ける決意を述べた。ファイナル公演は全10公演完売で約1万3000人を動員した。

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気迫の演技を目に焼き付けた。力強い歌声を記憶した。カーテンコールで拍手は鳴りやまなかった。この舞台を愛した観客の、54年もやり遂げた白鸚さんへのありがとう、そしてご苦労さまの思いがこもっていた。

初演から10年後の79年に初めて見た。それから上演の度に駆けつけた。20回以上は見ている。白鸚さんの歌う「見果てぬ夢」の「力振り絞りて、我は歩み続けん」の歌詞、「狂気とはあるべき姿のために闘わないことだ」のせりふに何度励まされたことか。

永遠に続くと思ったものにも終わりが訪れる。4年前の公演の千秋楽に楽屋で話を聞く機会があった。そこで、観客のために年齢的には極限の状態で舞台に臨む姿を知り、涙が出てきた。

40年の記者生活で「ラ・マンチャの男」に出会えたことは最高の宝物でした。同じ時代に生きた幸せを今日ほど感じたことはありません。本当にありがとうございました。【林尚之】