松岡茉優(28)と窪田正孝(34)が、映画「愛にイナズマ」(今秋公開)に主演し、初共演することが24日、分かった。
コロナ禍以降、人々がマスクを着け、本音を隠し、空気を読み、言いたい事も言えない鬱屈(うっくつ)とした社会の中で、大切なものを守るために精いっぱい生きる人々を描いた、石井裕也監督(39)オリジナル脚本の新作だ。
松岡は、夢の映画監督デビューを目前にプロデューサーにだまされ、ギャラから企画まで全てを失うも諦めず、反撃を始める折村花子を演じる。初タッグを組む石井監督の脚本を初めて読んだ際は「面白いし、ぜひやりたいんですけれど、やり切れる自信がなかった。自分のスキルと覚悟ではできないんじゃないかと思ったから一瞬、置きかけました」と、1度は出演をちゅうちょしたと明かした。それでも「できないと思っているってことは、自分の奥の琴線に触れてるってことだから、チャレンジしないといけないんじゃないか」と思い直し、覚悟して出演を決めた。
同じく石井組初参加の窪田は、花子と運命的に出会い、ともに闘う覚悟をした舘正夫を演じる。「コロナが来て世の中が一変して、今、2年くらいたちましたが『あれ、なんだったんだろう?』って、みんなが思ってるけれど、どこか口にしちゃいけないことが、いい意味で愛を込めて、皮肉めいて、メッセージがちりばめられていた」と作品を評した。その上で「それが自分が疑問に思っていたことと一致していて、その時に燃える何かがあった」と出演した理由を説明した。
初共演の2人だが、松岡は「小学生5、6年の時に、窪田さん主演の作品のオーディションを受けて落ちた話をさせてもらってから、いろんなお話をさせていただけるようになりました」と窪田との“縁”を明かした。窪田は「お芝居へのアプローチの多彩さ、多面さ、吸収率の高さがすごかったです。監督の微妙なニュアンスも捉えて狙ってくる。近距離も遠距離もいけるイメージで、毎日圧倒されてました。茉優ちゃんの軸の強さと花子の負けん気の強さが相まって、花子を演じるべくして、松岡さんがやられたんだなという印象でした」と松岡を絶賛した。
どん底に突き落とされながらも「泣き寝入りなんて絶対にしない。私は諦めずに闘う!」と誓った、花子が頼った父の治を佐藤浩市(62)兄の誠一と雄二を、池松壮亮(32)と若葉竜也(33)が、それぞれ演じる。10年以上も音信不通だった、どうしようもない家族も巻き込み思いもよらない反撃を始める花子と正夫を待ち受ける、予想を超えた大きな愛こそ、作品の最大の見どころだ。
松岡は「家族の物語、諦められないものを持っている人の物語、世の中の普通や常識に対して『それ、なんだよ?』っていう怒りを持った女の子の物語」と作品を評した。その上で「『選択肢の連続への疲労』『正しさって何なのかわからない』世界の状況が変わる前から生きやすくはなかったのに、もっと大変になってしまった世の中で、勝ち上がってやるんだ、という花子の全身全霊を、私が止めてなるものかと挑みました」と、演じる花子と自らを重ねたと強調。「花子と同じく、みんなにめちゃめちゃ愛してもらって、出来上がった作品です。あなたに届きますように」と、作品が広がることを切に願った。
窪田は作品について、改めて「全部、世の中が悪い。仕方がない。人も自分も、ウソと言い訳でごまかして都合の悪いことも全部なかったことにする。そんな理不尽にあらがう、とある家族の物語。人は愚かで醜いけど、命は尊く等しく重い。監督の愛と敬意と皮肉が詰まった作品になっていると思います」と語った。そして「家族の物語でもあるし、愛も詰まっているし、今のこの環境下で、ふさぎ込んだ心を解き放ってくれる何かがこの作品には詰まっている気がしています。人はいろんなことを諦めたり、なかったことにしたり、ぶつかることを避けたり、知らない間に演技をしていたりしますが、そういう人間の本質を突いた、見た方は体にイナズマが走るような作品」と力を込めて訴えた。