夫婦漫才コンビの宮川大助(73)花子(68)が1日、大阪・YESシアターで4年ぶりに漫才を披露した。
オープニングトークで大助の押す車いすで登場した花子。ファンで埋まった客席を見て「3日前に抗がん剤を打ってもらって、きょうはすこぶる元気です」「誰よりも、私が一番楽しんでます」と笑顔を浮かべた。闘病中とは思えぬほど口調は軽快で「大助君も、ひとこと」と促した後、大助が「えー」。間髪入れずに「はい、ありがとう」と、かつてと変わらぬパターンで爆笑を取った。
注目の漫才では、花子は車いすに座り、隣に用意したイスに大助が座るスタイル。センターマイクを低くしてしゃべくりを披露した。ホノルルマラソンを二人で走った思い出や、花子の胃がんや多発性骨髄腫、大助の脳内出血や脊柱管狭窄(きょうさく)症などを経験談を語った。体の痛みが分からない花子は自宅の風呂で転倒して、お尻の骨を折ったことも。支えていた大助の手がせっけんで滑ったためで「あれは、大助さんが原因なんです」と夫を攻撃し、笑いを誘った。
漫才を終えて花子は「私はこれからもパラ芸人として頑張ります。きょうは会場の皆さんのおかげで元気に務めることができました。こんな幸せな復活はありません。大助・花子は幸せです」と感謝を伝えた。
この日のイベント名は「宮川大助・花子の『お待たせ!』」で、舞台での漫才は2019年6月、名古屋・大須演芸場以来だった。
花子は19年1月に多発性骨髄腫と診断され、20年4月に退院。在宅でリハビリ生活に入った。
21年12月19日、地元の奈良県生駒市で大助とともにトークイベントに参加。22年2月に闘病記を出版した後、同4月に花子は車いすで約40分講演を行うなど、復調の兆しを見せていたが、10月には体調を崩し、一時は呼吸困難から心肺停止の危機に陥り、10日間入院した。
それでも12月には生駒市のイベントに出演し、今年2月3日には大阪成田山不動尊で節分の豆まきに参加。短時間ながら立ち上がって豆をまき、元気な姿を見せた。このとき花子は、今年に目標について「復活!」と宣言していた。
この日のイベントには、テンダラー、インディアンス、さや香、ラニーノーズ、天才ピアニストらがゲスト出演。宮川さゆみ、宮川たま子、宮川隼人ら大花ファミリーも花を添えた。ラストでは、ザ・ぼんちがサプライズ出演。「おさむちゃんです!」といつものギャグで爆笑をさらった。
<花子漫才復帰までの歩み>
◆19年3月 寛平マラソン出場(12キロウオーキング)で体に決定的な異変を感じる。
◆19年6月 多発性骨髄腫と診断。放射線治療、化学療法を開始。入院当初は「首から下が動かない」状態だった。
◆同12月11日 大阪市内で会見し、闘病を報告。全身7カ所以上に腫瘍があったが、回復傾向にあると言い、達者な花子節は健在。なんばグランド花月(NGK)のセンターマイクへの復帰を誓った。
◆20年1月 「検査で全身の腫瘍が消滅した」と明かす。下半身不随状態もリハビリ重ね、歩行器を着けて歩く訓練も。右手の握力も10キロ程度まで戻り、趣味の手芸や絵描きも再開した。
◆同4月16日 奈良県内の病院を退院。「次の1歩は歩いて踏み出したい」として、玄関口で車椅子から降り、歩いて病院を出た。
◆同5月 病状を示す数値が悪化し、新たな化学療法を受けることになり、週1回の抗がん剤治療を継続。病との闘いは新たなラウンドへ進んだ。折しもコロナ禍で次なる試練との闘いも始まった。
◆21年12月19日 地元の奈良県生駒市で、約2年半ぶりに舞台出演。大助を車いすに乗せて、花子自らが押して歩く意表を突いた登場。達者なしゃべりも健在で、「(病と)100戦100勝します」と宣言。
◆22年1月 闘病記「あわてず、あせらず、あきらめず」を出版。2月にはオンライン会見し「遺作ではありません。私の希望をのせてますんで」。
◆同3月 病状は「寛解」状態まで回復。当初は「自分の足でセンターマイク」を目指すも、東京五輪・パラリンピックでの選手の活躍に心を打たれ「車いすで漫才できないと思っていた自分が恥ずかしい。パラ芸人になる」と決意。
◆同年4月3日 吉本興業創業110周年特別公演で、約3年ぶりに聖地NGKへ登場。夫大助には「110周年いうて呼ばれて、1人でええ言うたんですけど、うちの夫もきました。この人、一応ね、二刀流なんですよ。庭掃除もやるし、家のこともやるし。本職は何か知らんけど」。初代吉本新喜劇座長の故笑福亭松之助さんの長男で、明石屋さんまの兄弟弟子、明石家のんきもイジリ倒し、健在な花子節でわかせた。
◆同年4月24日 奈良県生駒市の「たけまるホール」で、闘病記の出版記念講演会。病に倒れて初めて、単身での舞台だったが、トークは予定を約10分オーバー。「ほんまはさーっと歩いてきたかったけど、リハビリしすぎて腹筋とおしりが筋肉痛で」と笑わせた。
◆22年10月30日 担当医師が出演する尊厳死について考える会に、夫大助とともにオンライン出演の予定だったが、前日29日に体調が悪化し、救急搬送され出演見送り。呼吸困難から一時は心肺停止にも陥り、心不全の状態となったが、ICUで治療を受けて回復。
◆同12月11日 「生駒の素人名人会」にサプライズ出演。冒頭、花子の欠席が伝えられ、長女さゆみが電話でつなぎ、花子は電話越しに「大きな声出したらあかんねん。心臓に悪いから」。その3時間後のエンディングで「スペシャルゲスト」として、車いすながら「どうも~」と元気な声で登場。総評を任された大助が「え~」と発して間を置くと、すかさず「あんた、かんだらあかんで!」。花子の機関銃トークで大助にしゃべる間を与えない「大花漫才」さながら。
◆23年2月 大阪成田山不動尊(大阪府寝屋川市)の節分祭で豆まきに参加。地元出身で、節分祭のレギュラーメンバーだったが、久々に特設舞台に現れ「福は内!」。当日の気温は5度も「寒くなかった。カイロをはっていたし、皆さんの熱気がうれしかった」。
◆23年4月10日 4年ぶりの漫才披露イベント「宮川大助・花子の『お待たせ!』」を発表。19年6月、名古屋・大須演芸場以来の漫才に「口は元気」。