ABCテレビ28年ぶり全国ドラマ枠新設、フジで「のだめ」など手がけ再入社の企画担当者が思い

取材に応じたABCテレビ清水一幸氏

朝日放送(ABC)テレビが今春、単独では28年ぶりとなる全国ネットドラマ枠を新設した。清野菜名(28)主演の「日曜の夜ぐらいは…」が、テレビ朝日系で放送されている。NHK大河ドラマ、TBS日曜劇場が存在感を発揮する日曜夜の“大海原”に、「明日も頑張ろうと背中を押せる作品」を送り出す。企画・プロデュースを務める同局清水一幸氏(50)に、新枠やドラマに込めた思いなどを聞いた。

全国区の人気を誇る「M-1グランプリ」「芸能人格付けチェック」「探偵!ナイトスクープ」など、バラエティー制作に強みを持つABCテレビ。次なる一手は「ドラマ」だ。

清水氏は「バラエティーの次に何か? と考えた時、ドラマもやっている会社だとイメージを付けることはすごく大きいんじゃないか」と話す。動画配信サービスが広がったことによる海外市場も視野に「弊社もドラマ枠を持って勝負をしていくことをやっていかなきゃいけないんじゃないかと。私が入社した一昨年のタイミングで、そういう声が出てきました」と経緯を振り返る。

新枠は日曜午後10時。同8時のNHK大河、同9時のTBS日曜劇場に連なり、日本テレビでは同10時30分開始枠と放送時間が一部重なることになる。ドラマめじろ押しの日曜夜に打って出ることになり、「それはもう大海原。各局が力を入れる枠に続くので、大変なことだと思います」と苦笑する。ただ「ずっと力を入れて見なきゃいけないドラマにはしないように」と、コンセプトは明確だ。

「日曜の夜ってみんな嫌じゃないですか。その中でも気軽に見られて、でも『ああ、意外といいドラマ作ってるな』と思ってもらいたい。明日も頑張ろうと背中を押せるような作品になればと思っています」

先月30日、第1弾となる岡田惠和氏脚本の「日曜の-」が始まった。ストーリーは主に会話劇で進み、登場人物たちの日常生活や心の機微を細やかに描く。第1話では、余裕をなくした主人公のサチと母親がコンビニで一番高いアイスを買い、「大丈夫だよね」と確かめ合うシーンが印象的に描かれた。放送以降、ネット上には「私もまねしようかな」などと共感の声が続く。「ドラマが時代を作る、というのが一番の理想」とも語り、「今回、高いアイスを買おうとコンビニに走るっていう行動が世の中に本当に起きるんだったら、それはすごいこと。そういうことがワンクールに1個ずつぐらいできると、楽しいなって思います」。

7月期以降もオリジナル作品を準備する。ラブストーリーや学園ものの構想もあるが、基本は会話中心に仕立て「自分の中では、医療ものや刑事もの、弁護士ものはやらないと思っている」と独自路線を意識。ドラマを通して局のカラーが浸透することを期待し、「『ABCが作るドラマってこうだよね』と思ってもらいたい」と話している。

 

◆清水一幸(しみず・かずゆき)1973年(昭48)3月3日、埼玉県生まれ。上智大理工学部卒。96年に朝日放送入社後、営業やバラエティー制作を経験。05年1月にフジテレビに移籍し、ドラマ制作に従事。06年「のだめカンタービレ」、13年「最高の離婚」、14年「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」、15年「問題のあるレストラン」などのヒット作を手がける。21年4月、再び朝日放送に移籍し、現在はコンテンツ開発局長。