伊藤沙莉「マイダディ」と慕う内田英治監督との6年越しの映画完成に感謝も海外の映画祭に行けず

映画「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」完成披露舞台あいさつに登壇した、左から内田英治監督、Da-iCE工藤大輝、伊藤沙莉、竹野内豊、片山慎三監督(撮影・村上幸将)

伊藤沙莉(29)が31日、東京・テアトル新宿で行われた主演映画「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(内田英治、片山慎三監督、6月30日公開)完成披露舞台あいさつで「台本を読んだ時、海外に行けるだろうと思った」と、海外の映画祭参加を期待したものの、かなわなかったことを惜しんだ。

「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」は、伊藤の17年の主演映画「獣道」で監督を務め、20年の主演映画「タイトル、拒絶」ではプロヂュースし、伊藤が「マイダディ」と慕う内田英治監督(52)が手がけた。「獣道」の撮影終了後、伊藤主演のオムニバス映画を構想、企画し、2人で話をしたものの、互いに多忙で製作が進まなかった。その中、同監督が全12話の監督と脚本を担当した、20年のNetflixドラマ「全裸監督」でチーフ助監督を務めた片山慎三監督(42)と出会ったこと、内田監督と伊藤、双方のスケジュールが21年に空いたことを受けて、共同監督の形で製作を水面下で進めた。その中での1つの目標が「海外の映画祭出品を目指した作品作り」だった。

伊藤は、劇中で東京・新宿ゴールデン街にある小さなバー「カールモール」バーテンダー兼探偵の石破マリコを演じた。「やりたいね、と言っていた企画の立ち上げからは、ずいぶん経って実現した作品だったのもあって、作品に入られるのが、うれしかった。役を通して、職業としてスナックのママを、ずっとやりたかったので、うれしかった」と感慨深げに語った。そして「どうやるんだ、表現するんだ、というのが台本に詰まっていたけれど、現場が、どうなるか分からなかったのが最初の印象」と、最初に台本を読んだ印象を語った。

そして「台本を読んだら、海外に行きそうと思った。絶対に海外に行けるだろう」と口にした。ただ、内田監督からは「でも、私は忙しくていけないと…」と突っ込まれた。

伊藤は、テアトル新宿にも程近い東京・THEATER MILANO-Zaで6月5日~7月2日まで全32回、大阪・新歌舞伎座は同7日~17日まで全13回、それぞれ上演される、9年の韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を日本で舞台化する「パラサイト」の主要キャストの1人、金田家の娘・美妃を演じる。その稽古も連日、行われるなど多忙を極めている。

一方で、作品は第40回ブリュッセル・ファンタスティック映画祭(ベルギー)でホワイト・レイヴン・アワード、第43回ポルト映画祭(ポルトガル)で観客賞をそれぞれ受賞と、海外からも注目されている。伊藤は「(自分が海外の映画祭に参加できなかったのは)全然、本望じゃない形になったけれど、作品が(海外に)飛び立ったり評価されるのは、うれしい」と笑みを浮かべた。

内田監督は「2人で、こういうのを、やりたいねなんて、ずっと話して今回、結実した。もう1つの目的として海外の映画祭、行きたいよねと」と企画成立までの経緯を語った。その上で「前も(伊藤と)オーストラリアに一緒に行ったりしたけれど、今回は結局、彼女は来られず、僕だけが楽しんできたという結果に終わったんですけど、ホッホッホッ」と笑った。それを聞いた伊藤は「自分も、ぜひ(海外の映画祭に)遊びに行きたいのかな、というのはあった。作品だけでも行っていただいて、うれしい」と口にした。片山監督も「僕は、ちょっと行けなかったんで」と強調した。

内田監督は「僕だけポルトガルを楽しんで…」と笑った。同監督は「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」にも出演している、お笑い芸人で画家の矢部太郎(45)と、2月にポルト映画祭に参加した。同映画祭とブリュッセル・ファンタスティック映画祭は、サスペンス、ホラー、アクションなどを扱ったジャンル映画の国際映画祭の中でも格が高い、世界三大ファンタスティック映画祭に数えられている。「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」が最後の1つ、スペインのシッチェス映画祭に出品されれば、世界三大ファンタスティック映画祭を制覇することになる。

舞台あいさつには、石破マリコの彼氏で自称・伊賀麻績新陰服部流を継承した忍者MASAYA(まさや)を演じた竹野内豊(52)と、主題歌「ハイボールブギ」を歌唱しの作詞・作曲を担当したDa-iCE工藤大輝(35)も登壇した。